おめシスの『白日』が良かった話

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初めて、おめシスの歌で心動かされました(超失礼)。

先日投稿された『白日』のおめシスverですね。

今までもおめシス的には「歌も武器!」というテイで活動してきましたが、正直なところ、好きなのはとても伝わるんだけれど、眼を見張る歌唱力や歌声の持ち主かというと…でした。

特にこの界隈は黎明期から富士葵がいましたし、その後もYuNiだったり、花譜を始めとする神椿勢など、明らかに一般人の域を大きく逸脱した歌うまvtuberが途切れることなく登場したので、フィーチャーされずとも仕方ない状況でした。

だけれど、今回の『白日』はわたしの心を捉えて離さなかった。なぜか?

 

単純な技量なら、他の歌で売っている方のほうが上です。『白日』なら緑仙さんも歌っていますし。でも、それをひっくり返すだけの良さがあった。

 

まず、映像が素晴らしい。原曲のMVをオマージュして、あの印象的なモノクロームの世界と存在感のあるポップガード付きマイクをセッティング。さらに、曲のシリアスさとおめシスらしいコミカルさをうまく取り込んだストーリー仕立てになっている。

原曲はこちら。

次に、おめがリオのハスキーボイスがこの曲によく合っていた。これがないとこの曲は始まりません。

そして、おめがリオの歌い方を聴く限り、おそらく例のあのシリーズを見て勉強したことが察せられます。

このブログでは2回目のご登場になりますね。以前『Pretender』の話をしたときにも触れました。

リオさん、よく勉強してらっしゃいますね。一番分かりやすいのは、「知らず知らず」ですか。上の動画で「知nらず知nらず」という風に、ラ行の前に気持ちnの音が入っている(というか、直前まで「ナ行」の口で準備しつつギリギリで「ら」と発音する感じでしょうか)と分析がなされていますが、リオさんもそれをかなり意識した歌い方になっています。そのあとの「犯した」の部分、ここはエッジボイスで「お゛」という風に解説されているのですが、ここはリオさん、ちょっと意識し過ぎて上手くいかなかったように見受けられます。というか、ウィスパーボイスでエッジボイス、しかもちょっと低めの取りづらい音程の入りなので、全部をパーフェクトというのは単純に難しいというのもあります。

ここまででお分かりの通り、ちゃんと下調べして、かなり本気でこの歌を歌っているんです。その心意気がすごく良い。

そのあとの「歩き出さなきゃ」ではエッジボイス上手くいってますね。「あ゛」って。フォールも「煌めいてみえたとしても」では諦めてる感ありますが、「降り頻ろうとも」では手の動きも合わせてちゃんと意識したフォールに聴こえる。

Bメロは女性には辛い低めのパートですが、しっかり歌い切っています。ここで映像は完全にモノクロになり、過去の回想になります。リオさんがレイさんを植えた鉢を大事に育ててる感じでしょうか。

サビに入るとその植木鉢に植わっていたはずのレイさんが成長して飛び出してメイン担当。ここは割と自由に、レイさんの好きなように歌ってますね。最後に窓から飛び降り、リオさんは驚きと幾ばくかの悲しみの表情。

再びAメロ。「昔のようには」の「よう」の部分が若干音程不安ですが、それ以外は先ほど言ったポイントをほぼ丁寧に抑えています。エッジボイスやフォールなど、出来る範囲で気を配った歌い方。

再びBメロ。低いが頑張る。そしてモノクロ回想、やはりレイ鉢を愛でていたリオ。

サビ。飛び降りたはずのレイさんが、意味深に置かれたリボンの見える鉢植えからではなく、壁からひょっこり現れる。そしてまた飛び降り。

Cメロ。ここの回想では、鉢を頭に乗っけたり、ペシペシ叩いてみたり。

そのあと、実は飛び降りではなく壁のへりに捕まっていたことが判明。救いの手を差し伸べるリオさん。

転調サビ。何故か二人でへりに捕まっている。ラストでリオ転落。手を振るレイ。

(追記:最後のシーン、影がかなり印象的でしたが、今日の動画でマテリアル…テクスチャみたいな感じかな?を変えていたことが明らかになりました。流石、バーチャルな技術の実用開拓には抜かりありませんね。)

 

…という感じでした。こうやって見ていくと、歌ってみたも面白いですね。人間味のあるリオさんと、サイコパス味のあるレイさんというキャラ立てが活きたMVです。

最後の補足で、ドラムの面から『白日』を解説している動画も見つかったので、念のため載せておきます。

皆さんも、ビビッとくる「歌ってみた」があれば、ぜひじっくり聴いてみて、その良さを教えてくださると幸いです。

それでは。

縁起でもない話

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先日、久方振りに帰省しまして。

なんだかすごく普通のブログっぽい始まりですね。

わたしが身の上話をほとんどしないのは、まず需要がないのがひとつ。もうひとつは、ない方が良いこともある、ということ。ミロのヴィーナス、サモトラケのニケです。

 

VTuber原理主義もすっかり下火になりました。というかガチガチの人たち、バーチャルな在り方に夢や希望を抱いたであろう方々は、もうこの界隈に見切りをつけて離れてしまったと想像されます。

昨今のvtuberはバーチャリティより、人間味に重きをおくコンテンツになったから。

バーチャルに夢見た純粋な人たちは、たぶん、かわいさであったりかっこよさであったり面白さであったり便利さであったり、そういう良さを限りなく純度100%にまで高めて具現化したような、バーチャル理想郷を夢見たのではないでしょうか。もしかしたら、VRCの世界ではその夢の実現に向かい着々と前進しているのかもしれませんね。

vtuberというコンテンツに関して言うなら、当初はバックに何がついてるとか、どういう技術で成り立っているとか、当然必要になってくる演者・裏方とか、そういう人間臭くなっちゃう部分を極力排して提供されていました。ねこます氏やのらきゃっと氏の場合は、個人でそこまで徹底する術もないので、人間臭くなっちゃう部分を先出しし「それはそれとして」キャラクターを楽しんでしまおう、というわけでした。

で、若干話が逸れかけましたが、原理主義者の精神、そのエッセンスというのは普遍的にどんな人にも見出し得る。両腕の欠けたミロのヴィーナスが、なぜあそこまで神格化されたのか。サモトラケのニケに至っては両腕に加え頭部もない。でも、その美しさ、力強さに人は眼を見張る。欠けていたからこそ、なのです。

ゲレンデ効果までいけばだいぶ卑近な例に近づけるでしょうか。ゲレンデでは普段より美男美女に思えてしまうという例のあれですね。あとは、歯科医のお姉さま方にウブな男性が惚れてしまうやつとか。もっと言えば、道端やネット上にわんさかいるマスク女子(男子もいる?)。まあ、要するに「人は足りないところがあると良い具合に補完してしまう」という話。vtuberなんてのはその最たるもの。見えないところ、知らないことばかりですから。

そういう精神を尊重して、わたし自身もあまり身の上話をしませんでした。知らないままなら、各々適当に埋め合わせたり出来ます。なんとなく、その方が楽しいかな〜と。

 

それなのになぜ帰省話かといいますと、大したあれでもないんですがね。

埃をかぶった日本文学全集が一揃いありまして、せっかくだし読みやすそうなのがあれば持って帰ろうかなと。

ザーッと片っ端から適当に目を通して3冊ほど残り、じゃあこれだけ持って帰ろうと。名前を見たら

夏目漱石」「芥川龍之介」「川端康成

いやいや、ど定番!怖。演習で担当した縁で島崎藤村とかも選ぼうかなと思っていたんですけど、結果的にこうなりました。彼らの先見の明なのか、それとも日本語そのものがこれらを手本に成長してきて、現代に生きるわたしの脳も無事侵食されたのか。現代人でもするっと読めてふつうに面白いというのは、実際驚異的です。

当時は有名どころでも、今じゃすっかり読まれなくなった人もいますし、こういうのは何がどう転ぶかわかりませんね。

 

で、それはともかく。近頃、vtuberもスーパーマン/スーパーウーマン化してきましたね。大体のことは人並み以上にこなせるハイスペックばかり。一昔前は約束されしレールを踏み外したドロップアウト組の逆襲、一点特化で壁をぶち抜くみたいな面白さがあったんですが。最近のにじさんじやホロライブあたりの新興勢力を見ると、vtuberでなくとも十分成功するであろう(あるいは既にしている)人材の活躍が目立ちます。

絵描き系も増えました。犬山たまきがデビューした頃はまだまだ珍しいほうでしたが、主にホロライブメンバーの2Dデザインを担当してきたしぐれういや、飛ぶ鳥を落とす勢いの宝鐘マリンなど、かなり粒ぞろいになってきた印象があります。宝鐘マリンはどちらかというと配信者が本業なのに、絵も連載持ったレベルで上手い、という感じなんでしょうか。

 

…誰か忘れてる?いえいえ、ちゃんと覚えております。ブイアパの住人、鴨見カモミさん。

忘れていたわけではないんです、ちょっと話題にするのが怖くて。以前に「若さ」というテーマでいくつか記事を書きましたが、そのときのトップバッター宇森ひなこ、続く蒼月エリが引退。縁起でもないんですが、気持ち悪いものを感じる。いっそ話題にしてしまったほうが楽かなと思い直しました。

個人的には、なんでも出来るスーパーマンより、穴が開きすぎて一体化した結果むしろ穴が少なくなった的な人のほうが、見ていて面白い。一般的な評価が逆転するとは思いませんし、むしろ正しいとすら思っていますが、先ほども言ったように、世の中なにが起こるかわかりませんからね。自分がどう思うかが大事。欠けているくらいでちょうどいい。欠けすぎはまたあれですけどね。

 

ブイアパも新顔が加入なさったようですし、まったり様子見といきましょう。それでは。

PatLiveが良かった話

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遅ればせながら。

当日は無料分を観て、翌日全編観終わりました。

今改めて観返していますが、なかなか良かったのではないでしょうか。こんなに有意義な五千円の使い方も珍しい。周防パトラ楽曲を復習したい方にはうってつけ。

今回は現地なし、全てネット配信の単独ライブになりました。最終的にvtuberが催すライブの正解は、ここに落ち着くと思います。箱を抑えるのにもお金がかかりますし、やりたいことによっては適した箱も少なそう。その手間を他に回したほうがずっと有意義です。リアルアイドルなら「目の前の同じ空間にいる」ことがファンにとっても大事な要素かもしれませんが、vtuberは最初から同じ空間にいることは不可能ですからね。現地にいても結局、生ではなく映像作品の鑑賞になりますし。

おそらく今回も収録部分がメインだったかと思います。少なくとも歌自体は新規録音、もしかしたら動きも収録済みか。むしろそれで良いと個人的には思います。3DCGやトラッキングの破綻する心配がありませんので。3DCGでガチのライブ(ダンス付き)をやると、程度の差こそあれ、ほぼ間違いなく放送事故が起こります。機材・技術面では岩本町芸能社がダントツかと思われますが、そのえのぐでもライブは観ていてハラハラします。今回カメラマンをBalusのMonsterZ MATEと関係の深い方が担当していらっしゃったので、ちゃんと界隈のコネクションは築けている様子。エハラミオリ周辺ですね。個人的な関心は薄いのですが、どこに目を向けても名前が出てくるのですごいなぁと。そのうち界隈牛耳ってるかもしれませんね。あるいは既に?

そういえば、今回ちゃんとしたスタッフロールが流れましたね。今までのvtuber界だと、世界観優先で裏方軽視な部分がありましたが、たいぶ風向きも変わってきました。良い傾向です。

最後にもう一つ現地なしの利点を挙げるなら、ファンによる行き過ぎた行為が最小限に食い止められること。特に周防パトラなどは熱狂的なファンが多いので、予てからの懸案事項ではありました。現地がなければ自然に大人数が集まることもありません。当人たちに悪気はないので尚更厄介な問題ですが、現地なしならその心配もほぼ解消されると言って差し支えないかと。

 

以上、拙いながら感想でした。

今度こそ雑記

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はい。雑多なことの詰め合わせです。最近見た動画やアーカイブなどの感想。

 

まずはパトラギアですね。1〜4まで終わりましたので、ひと段落というところでしょうか。

改めて短期間に通しで観てみると、『メタルギアソリッド』シリーズと『ミュウツーの逆襲』って似てますね。

調べてみると、MGS一作目と初代逆襲映画の公開はほぼ同時期だったようです。1998年後半。かの有名なクローン羊のドリーは、1996年。同時代的な問題意識の共有があったのかもしれません。

どちらも最後はクローン同士の肉弾戦。武器や〈わざ〉を使わず、生の身体能力だけでぶつかる。それで勝敗が着けば、勝ち負けに関わらず両者は存在意義を復活させられます。全く同じレプリカとして生まれた時点で奪われた存在意義を。まあ、厳密には全く同じではないんですけどね。これ以上はネタバレになりかねないのでやめておきますが、サブカル系の大学なら論文のテーマにしても面白いかもしれませんね。

 

つぎ、杏戸ゆげさん。なんというか、漸くエンジンかかってきた感じですね。3D化発表あたりから本気度が増したのか、配信スタイルや杏戸ゆげというキャラクター自体に馴染んできたのか。ピンで長丁場の雑談をしても場をもたせられるのは素直にすごい。尊敬します。引き出しが多いのと、話せるラインの線引きが固まってきたのもあるかもしれない。

 

こちらは西園寺メアリさん。こういうお役立ち栄養学みたいな話、好きなんですよね。実用的だし。アイドル部のように書籍化されれば買うかも。いやでも、料理本は世に溢れているから、なかなか実現は難しいか…。

 

YuNiさんの歌ってみた、久々にハマりました。『シャルル』以来。本家より好きかも。YuNiさんの歌い方ってあまり自己主張激しくないというか、癖が強くなくて聴きやすい。拘りポイントもありますが、かなり絞っている印象。

これのおかげでトム・ブラウンMADにも気づけました。

 

この感じだと、マイクラ動画は定期的に投稿されるんでしょうかね。最近のアップデートで「ハニーブロック」なるものが追加されたそうなので、いつかネタになると勝手に想像。

 

最後は鈴鹿詩子さん。楽しい曲ですね。個人的には女性ホルモンのくだりがお気に入り。

でもちょっと禍々しいか。

お口直しのデザートにこちらは如何でしょうか。前回の『シュガーホリック』とシュガーつながりです。

『シュガーホリック』の話

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雑記の予定でしたが、それなりの分量になったのでそのまま一つの記事とします。

先日公開された周防パトラの新譜(ところで、新曲と新譜ってどう使い分ければいいのかしら)『シュガーホリック』。

もう長いこと彼女の曲が琴線に触れなくなっていたのですが、久しぶりに気になったので。

まず映像が素敵。今までは冒頭の30秒でピンと来なくて素通りなことが多かったのですが(ごめんなさい!飽きっぽいもので…)、今回はそういうことを考える暇もなく、とにかく映像を見たくて最後まで聴きました。ドット絵好きなんです。ドット職人の方も、それをああいう形に仕上げた本人も、良い仕事してらっしゃる。

で、中身についても心に引っかかるものがあった。まとまったことは言えないんですが、とりあえず思いつくままに羅列してみます。

まず、「シュガー」や「甘さ」というテーマ。これは周防パトラの曲にはお馴染みですね。そもそもの声がいわゆる甘ったるい系統なのもありますし、源流を汲んで、というのもある。作曲Yunomi・イラストきあととで三種の神器というか、三位一体というか、一緒の仕事を長らくやってきた。きあと氏については「萌えと砂糖のオーバードーズ」なんてキャッチフレーズもあるようです。急に今回の曲と近づきましたね。

ただの推測ですが、このキャッチフレーズはおそらく頭に入っていたと思います。1番の後、フルなら2番の後に来るであろうCメロで「Sugar Holic」を「甘い甘い過剰摂取」と歌う場面がありますが、「Holic」を日本語訳したときの一般的なファーストチョイスは「中毒」であり、一本道で「過剰摂取」とはなりません。「過剰摂取」と訳されやすいのは「overdose」のほう。

オーバードーズはご存知かとは思いますが、要は服み過ぎですね。適量なら普通に処方される薬を、大量に一気に服むことで自殺を図るあれ。よく聞く割には成功率が低いので、ご注意を。失敗しやすいだけでなく、後遺症の可能性も高い。ちなみに元々のシュガーホリックは直訳すると砂糖中毒、甘いものを四六時中食べないとイライラしてたまらない、的なやつですね。ワーカホリック(仕事中毒)なら日本でも聞き馴染みがあるかと。

もちろん、歌詞として曲に乗せる際には色んな要素が絡むので一概には言えませんが、少なくとも「Holic≒Overdose≒過剰摂取」の図式は念頭にあったと思われます。

次に気になった部分は、曲調とは裏腹なネガティヴ感。軸になるのは「バカにされた世界で」。タイトルでもある「シュガーホリック」を除けば、最も頻繁に登場するフレーズではないでしょうか。「バカにされた」というのは、かなり強いネガティヴワードです。自分の中に強い理由がなければ、使うのを躊躇ってしまうほどには。ダークだったりニヒルだったりする雰囲気がウリのクリエイターならともかく、半ばアイドルソングの明るい自作曲には、普通採用しません。そもそもシュガーホリック自体がポジティブな言葉ではないというのもありますが、一旦先に進みましょう。

甘すぎ愛のシュガーホリック

バカにされた世界で

迷っても間違っていても

愛したくてたまんないよ

自ら「甘すぎ」と言ってるわけで、たぶん「間違って」いるだろうとは分かっている。

誰かが壊した

ラクタのおもちゃ

それも私には

大切なものなの

ここもなかなか凄いですね。「誰かにとっては見向きもしないものでも、自分にとっては大事なもの」なら良くある話です。

そうではなくて、「誰かが」わざわざ壊すくらいには忌み嫌っていた結果「ガラクタのおもちゃ」になったものも「私には大切なもの」なんだそう。…なんというか、背筋が冷えますね。

すぐ泣くしすぐ怒るし

デビルガールなの

そんなの知ってるよ

大丈夫だよ

ここは笑うべきかどうか、判断に困る。デビルガールはそのまま受け取れば周防パトラでしょうから、周防さんのファンならこう言ってくれるだろう(あるいは実際そう言っている)というのを、本人が言ってしまう。ある意味ではここも怖い。

あと、歌詞だけでなく映像にもネガティヴな要素が見てとれます。Cメロの部分ですね。一応言うと『ハートサーモグラフィー』に似て、Yunomiの流れを汲んだ和テイストのパート。

で、映像はゲーム画面風。左下の周防パトラがゲーム配信している様子。ポケモンとかの戦闘場面的なものでしょうか。プレイヤー側に犬≒わんちゃん(周防パトラのファン総称)、相手側に悪魔要素を強めた周防パトラがいます。犬がプリン、コーラ、フィギュア、ゲーム機を悪魔周防に与えますが、全て✖︎。犬はバタンキュー。

『蒼い蝶』もそうでしたが、ネガティヴな要素を敢えて入れているのは、個人的に興味深い。少なくとも、インスタントで耳障りの良い音楽を目指しただけの曲ではないことになります。今回の曲なら、vtuber界隈のいわゆる「やさしい世界」への複雑な心情なんかを感じ取っても、面白いかもしれません。能天気に良いとは言えないけれど、それでもその甘さを肯定したい気持ち。

 

皆さまも、この機会に思い巡らしてみてはいかがでしょうか。

宇森ひなこの引退所感

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上記の引退説明配信を見た感想。

伝え方が難しいのですが、一つずつ処理していきます。

 

まず思ったのは、よっぽど宇森ひなこは辞めたかったんだな、ということ。

配信内でも言われたように、運営やメンバーサイドからの引き留め・休養提案は当然あったでしょうし、本人も何処かしら未練があれば、敢えて頑なに断る必要も見当たりません。宇森氏から「休養だとメンバーに迷惑がかかるから引退する」とのことですが、この説明はいまいちピンと来ない。というか、これだけだと実際のところ具体的な理由説明にはなっていない。

詳しい事情や当人の思考を知らないのでハッキリとしたことは言えませんが、休養はダメで引退でなくてはならない理由が、外的要因としては見当たらない。メンバーの迷惑というなら、休養も引退も大差ないように思えます。もちろん、体調不良により判断能力に鈍りが生じている可能性も視野に入れた上で。

要するに「メンバーに迷惑がかかる」というのは大義名分であり、宇森ひなこ自身が、どうしても「宇森ひなこ」を辞めたかったのだと、個人的にはそのように感じられました。

 

であるなら、宇森氏に対して「治ったら戻ってきてほしい」というのは酷です。

体調不良の詳細が分からない以上なんとも言えないのですが、これを仮にうつ病などの精神的な病とします。妊娠も広く捉えれば体調不良であり、マタニティブルーという精神面でのぐらつきもありますが、これは一旦例外として措きます。少なくとも、妊娠なら出産までの見通しは立ちますし、どっちみちその後の育児を考えた場合、辞めるのは適切な判断でしょう。

で、うつ病などの精神疾患と仮定した場合。ここから先はあくまで医学的素人の意見なので、決して鵜呑みなさらぬよう。

精神疾患も無論身体的な病というか、直接的な原因は身体の中(もっといえば脳の中)の物質問題であることが多い。そこに至るまでの原因は多岐に渡りますが。いわゆるストレスとか、別の病とか。

とはいえ、その診断にあたってはアナログにならざるを得ません。一般的な病気のように「検査した結果あなたはインフルエンザのA型でした」とはいかない。医師が見て、問診して、最終的には経験則でなんとなく診断するしかない。そのあといろんな薬を試すなかで「やっぱりこっちだったね」というのもある。そういう病です。もっと言うと、病かそうでないかの線引きも難しい。結局のところ、当人が辛いと感じ、それをなんとか良くしたいと思えるかどうか。

というわけで、実際のところ宇森氏がどういう診断を下されたかは知る由もありませんが、少なくとも本人が何かしら辛いと感じ、「宇森ひなこ」を辞めたいと思ったことは事実でしょう。ならば、治ったら復帰してほしいというのはNGです。逆に言えば「体調が良くなったら宇森ひなことして復帰しないといけないのかもしれない」という無形の圧力が、その自己治癒力を妨げます。治ったときに辛い現実が待ち構えていたら、治るものも治りません。宇森氏はわざわざ休養ではなく引退を選んだのですから、戻ってくるという期待はしないほうがいい。彼女のためを思うなら。もちろん、余裕が出てきて「やっぱりやろうかな」となれば話は別ですが。そこは、一般的な職業よりフレキシブルな分、対応しやすいでしょう。

あとは、本当に体調不良なら、それと上手く付き合いながら徐々に良くしていくしかありません。このときの正解というのは存在しないも同然なので、もし不可解な行動をとったとしても「病人なのになぜそんなことをするのか」とは言わず、ただそっとしておくに限ります。わたしから言えるのは、きちんと医師のもとに通い、投薬を中心とした根気強い治療が必要ということ。古い方は精神病の薬に怖さを感じるかもしれませんが、抗精神病薬は昔と比べて進化しており、副作用や離脱症状もかなり抑えられたものになっています。また、薬を服んだからといってすぐ良くなるわけではなく、結局十分な休養をもってしか治ることはありません。治るというのも、いわゆる完治し発病以前に戻るというより、寛解という形で、病が再燃しにくい状態へと変わっていく(環境、当人の考え方なども含めて)ことになります。

もし中の人として活動したいならすればいいし、元稲荷くろむと仲良くしたいのならすればいい。すべて自己責任ですからね。個人的には、vtuberを辞めた以上あまり興味はありません。

 

次に、運営について。

日ノ隈さんが言っていたように、引退者が出ることでファンから不信感を持たれるのはやむを得ないことです。が、今いる演者が感謝していると言っている以上、何も言うことはありません。当事者しか知りようのないことだから。

ただ、もっと早い段階で宇森氏の体調不良あるいはモチベーション低下に気づき、なんらかの手を打つことは出来たのではないかな…とは思います。

そのあたりの今後の改善、例えば人それぞれのペースを管理・マネジメントし、きちんと手綱を取れる(あるいは演者から些細なことでも言いやすい)仕組み作りは必要かと。やる気があるからといってオーバーワークは禁物ですし、やることが無さすぎるとそれはそれで辛い。

今回の件を受けて、残るメンバーは少なからず精神的ダメージを負っているでしょうし、そのアフターケアやカウンセリングを請け負う人は確実に必要です。素人で済ませるのではなく、ちゃんとした資格を持つカウンセラーを雇うなり、通院分の費用を肩代わりするくらいはできるはず。まあ、温泉旅行や美味しいもの食べに行くというのも、間違いではないと思いますけどね。ただ、どうしても対症療法であることは否めない。落ち着いて自分の気持ちを吐き出せる第三者を雇う、というのがベストに思えます。これだけの規模になったのですから、それ相応のサポートも整備しなければ、いずれまたぶつかる問題です。

 

次に、残るメンバーについて。

因幡はねる。

リーダーとしての至らなさを嘆いていましたが、うーん。どう言ったものか。

周防氏と比べてどうこうという文言もありましたけど、別に周防さんだってリーダーとして特別優れているわけではない。前にインファイト型と表現したこともありましたが、リーダーとかそういうの抜きにして、あの人はああいう付き合い方なんです。

因幡さんは、人格形成時点で満足いく人付き合いが出来なかった、特に親との確執。「心の産毛が擦り切れたような」と表現したこともありましたね。端的にいうとアダルトチルドレンです。幼少期に得るはずの滋養を得られなかった。少しずつその溝を埋める努力をしているようには感じます。

本当のところ、リーダーというのは彼女にはやや荷が重い。いや、引退者が出たからという意味ではありません。彼女たちはいずれにせよ辞めていたでしょう。そうではなくて、本人がしんどい。何事も向き不向きがあります。慣れないことで徒らに神経をすり減らすのは、得策とはいえません。

正直、上記の経緯を考えると、自分のことで手一杯ではないでしょうか。

一個人の意見として言えば、日ノ隈氏にリーダーを禅譲するべきだと思います。これは前から感じていたことですが、今回の件で確信しました。そこまで行かずとも、3人になったのを好機と捉え、もっと役割を分散させる、あるいは持ち回りにすることも考えられます。

 

その日ノ隈らん。

おそらく彼女は、あの場でどんな話をすべきか、どう空気を読むべきか、どの流れが比較的正解で、多くの人の理解を得られるかが、なんとなくではあるが分かっていた。また、この方向は良くないなというのも察知していた。具体的にこの場面というのはあるのですが、あれをもう一度見るのがしんどいので、正確に示すことが出来ません。もしどうしてもこのことが理解できず、どこを根拠に言っているか知りたいということでしたら、日を改めてということでご勘弁のほどを。

これまであくまで因幡はねるのサポート・裏方に徹してきましたが、もう彼女は限界です。日ノ隈らん、あなたが表に立って、自らの判断に自信と責任を持って、他の2人を強く率いるべきです。それが適材適所というもの。上とか下とかではなく、どうすれば円滑に物事が進むかという話。ただし、それだけの覚悟があるかどうか。少なくとも因幡氏は、不得手なりに認められるよう努力してきました。あにまーれを今後とも上手く運営するためには、日ノ隈氏の覚悟が必要です。脳みそフル回転させて判断し、その判断に自信を持ち、周りに流されず、きちんと言うべきことが言えるかどうか。間違っているかも知れなくても、そのとき考え得る最善の策を即座に提示する勇気があるか、どうか。

偉ぶるのではなくて、信頼してついてきてほしいと言えるかどうか。それだけの信頼を築く努力と、責任を負う覚悟があるかどうか。

はっきり言って、人の上に立つなんて何のメリットもありゃしません。ただしんどいだけです。でもそれをずっと1人に任せてきたのなら、そろそろ交代も考えましょう。仰る通り、リーダーなんて十人十色で正解はないんですから、1人に押し付ける必要もありません。

もちろん、あからさまにリーダー交代する必要もない。きちんと自分の考えを示していれば、いずれ自ずとそうなるはずです。

 

最後、宗谷いちかさん。

少しは目が覚めたかも知れませんね。でもまだ、自己承認欲求に囚われているのかもしれない。因幡さんもそうでしたが、「ファンが離れるのが怖い」「ファンに申し訳ない」という気持ちが先行していた印象です。

まずは「宇森ひなこがなぜあそこまで至ったのか」が来るはずです。その原因を自分たちなりに理解して、今後そういうことがないよう努める。改善策を提示する。まあ、これは本来運営がやるべき仕事ですので、これ以上は言いません。

宗谷さんもだいぶ自己評価が下がっていて、メンタルにきているようでした。ただし、自己評価はいくら周りの人に無条件肯定されたからといって、上がるものでもありません。いいねの数や優しいリプライ、再生数や登録者数も究極的には無意味です。その場しのぎにはなっても、根本的な解決にはならない。あなた自身が納得のいく何かを生み出せた場合にのみ、回復します。もう一度、自身のもつスキルや才能を見直して、一体自分は何をしたいのか考え直す、そういう最後のチャンスかもしれません。

 

長くなりましたが、以上です。各人が満足いく人生を歩めるよう、陰ながら応援しております。では。

 

 

(字数に含まれない追記)

「単なる移籍ではないのか、久遠千歳とは違うのか」との旨のコメントを頂戴しましたので、念のため知っている範囲での個人的な認識を記します。おそらく分かっている方には目新しい話ではないので、ご了承下さい。

宇森氏はいわゆる「転生」というより、宇森ひなことしての活動を辞め、もともとあった名義での活動を再開した…という表現になるかと思います。なぜ「宇森ひなこ」ではダメで、もとの名義での活動ならオッケーなのか、こればかりは本人にしか分からないことでしょう。

応援していた人は、いわゆる「中の人」に魅力を感じていたのであればそちらを追い続けるでしょうし、「宇森ひなこ」の部分に魅力を感じていたのであれば残念、ということになりそうです。

「中の人」と「vtuber」としての魅力は分別しづらいところもありますが、例えばキャラクターの見た目であったり、界隈での関係性であったり、意図的に/無意識に演じ分けている部分であったり、そういうところで違ってくるかと思います。

久遠氏については、転生先の声明ぐらいのことしか知りません。「久遠千歳」を辞めることは決めていて、そこに良い話が来て、よりやりたいことに集中できるキャラクターへ転生したというところでしょうか。

というわけで、宇森氏と久遠氏では事情や経緯が多少異なると、わたし個人は見ています。

追記は以上です。

今夜の説明配信で期待すること

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皆さんご存知の通り、あにまーれ・宇森ひなこさんの引退が発表されました。

 

今夜行われる説明配信を見てから何か書こうかと思っていたのですが、その前に、どのような点に関しての説明を個人的に期待しているかを整理するため、一度記事を書かせていただきます。

何か目新しい情報が得られるわけではないので、その旨ご了承下さい。

また、当然のことながら、公式な説明は今夜の配信にてなされます。よって、現時点では確たる話は何も出来ません。あくまで仮定の話です。あらゆる場合を考慮した上で、整理腑分けして臨みたいと思っておりますが、もしも考え落としがあればご指摘下さい。

 

 

  • 引退理由について

まず引退理由については、当人のツイートを額面通り受け取るなら「一身上の都合」です。これはほぼ何も言っていないのと同義なので、現状不明のまま。引退配信ができない(というか参加できない?)理由は「体調問題」で統一されていますが、あえて分けて書くのなら、引退理由は体調とは別のところにあるということでしょうか。それとも、同根なのか。

 

・体調による引退の場合

体調問題にも色々あります。フィジカルなのか、メンタルなものなのか。

もしフィジカル面で休養ではなく引退なら、よほどの状態です。完治の見込みのない国指定の難病とか、そのレベル。体力テスト(収録)で動いていたので可能性は薄いですが、一応考えておきます。

メンタル面なら、なんとも言えません。知っている者として言えるのは、ひとまず投薬治療が基本線ということ。それと休養。辞めるとか辞めないとかは一旦脇に置いて。もちろん、辞めることで心理的負担が減るのならそれも手でしょう。

 

・引退理由が体調以外の場合

原因の所在は、宇森ひなこ側か、運営側か、それ以外の外部か。いずれにしろ複合的というのが一番あり得るパターンにはなります。

例えば、演者の契約違反による解雇。もしこれなら、丑牡てぃあのように、運営側が明確にするでしょう。

あるいは、運営側に問題があった。ハラスメントだったり、今アイドル部で起きているような運営の管理能力不足など。もしハラスメントがあったと感じて辞めるのなら、匂わせるようなやり方は得策ではありません。どういう言動にそう感じたのかを提示すべきです。もし記録に残る証拠がないとしても、そこをハッキリさせないことには、第三者的にハラスメント有無の判断をすることが出来ません。でないと、ただの誹謗中傷や風評被害にしかならない。もちろん、当人が不快に感じればそれだけで辞める理由にはなりますが、客観的に正当性があるかは別問題。

もう一つの外部というのは、当然皆さんも頭に入っているであろう、このタイミングで転生した元稲荷くろむです。もしかしたら、これが関与している可能性もゼロではない。

 

いずれにしろ、明確に落ち度・原因があるなら、それについてはハッキリさせるべきです。

ただ、宇森ひなこ自身が説明の場に同席できないというのが引っかかる。もし運営側に落ち度があるというのなら、宇森ひなこ自身が自分の口で説明するしか方法はありません。残る3人のメンバーで、正確な状況説明を行えるのかどうかは甚だ疑問です。

 

 

  • どういう説明になるのか

以上を踏まえて、どう説明するつもりなのか。いくつか気になる点があります。

まず、体調問題の詳細。これをどの程度説明するのか、あるいは全くのフェイクなのか。

精神的な病の場合、なかなかオープンにしづらい面があることは確か。精神病も突き詰めれば身体的な病なのですが、そういった理解が広く一般に行き届いているかどうか。当人の意思を尊重した、かなり繊細な説明が求められます。

全くのフェイクというのは、当人の「あにまーれ・宇森ひなこ」としての活動モチベーション低下が真の原因という場合の話です。ファンにそう伝えるのは忍びないので、体調問題とする…というのも、あり得ないわけではない。

 

次に、運営側に問題はないのかという当然持たれるであろう疑念への説明。

明らかな悪者がいれば話は簡単ですが、そうでない場合もある。

例えば、先日のえのぐ・夏目ハル復帰を思い出して下さい。えのぐも夏目ハルと栗原桜子の2名が長期休養に入っていました。職業の特殊性、そして多忙ゆえに精神を磨耗し、そういう状況に追い込まれざるを得なくなった。夏目ハル復帰とともに、そのあたりの反省、改善策提示を行いましたね。

仮に双方悪気はなくとも、引退に至ったのは事実です。今回の件を受けて、今後どうするつもりなのか、運営と演者で納得いく話し合いがされることを望みます。

 

また、残る3人はなぜ残るのかが気になりますね。宇森ひなこには辞めるに足る理由があって、他の3人にはなかったというのがどういうことなのか。宇森ひなこ個人の問題なのか、グループとしての問題なのか。もしかしたらもっと広く、774inc.としての問題なのか。そのあたりきちんと説明できる状態ならいいなぁ…と。

 

 

あとは、今夜23時からの配信を待ちましょう。わたしからは以上です。

 

(追記:あと、転生稲荷についての立場を表明するかどうか。触れること自体がご法度のようにも見えますが、早い段階で「あちらさんと(あにまーれは)無関係です」と言ってしまったほうが、後々の火種を早期消化できるかもしれない。また、万一向こう側が「元あにまーれ稲荷くろむ」であることを売りにする腹づもりだった場合の牽制の釘刺しにもなり得ます)