宇森ひなこの引退所感

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上記の引退説明配信を見た感想。

伝え方が難しいのですが、一つずつ処理していきます。

 

まず思ったのは、よっぽど宇森ひなこは辞めたかったんだな、ということ。

配信内でも言われたように、運営やメンバーサイドからの引き留め・休養提案は当然あったでしょうし、本人も何処かしら未練があれば、敢えて頑なに断る必要も見当たりません。宇森氏から「休養だとメンバーに迷惑がかかるから引退する」とのことですが、この説明はいまいちピンと来ない。というか、これだけだと実際のところ具体的な理由説明にはなっていない。

詳しい事情や当人の思考を知らないのでハッキリとしたことは言えませんが、休養はダメで引退でなくてはならない理由が、外的要因としては見当たらない。メンバーの迷惑というなら、休養も引退も大差ないように思えます。もちろん、体調不良により判断能力に鈍りが生じている可能性も視野に入れた上で。

要するに「メンバーに迷惑がかかる」というのは大義名分であり、宇森ひなこ自身が、どうしても「宇森ひなこ」を辞めたかったのだと、個人的にはそのように感じられました。

 

であるなら、宇森氏に対して「治ったら戻ってきてほしい」というのは酷です。

体調不良の詳細が分からない以上なんとも言えないのですが、これを仮にうつ病などの精神的な病とします。妊娠も広く捉えれば体調不良であり、マタニティブルーという精神面でのぐらつきもありますが、これは一旦例外として措きます。少なくとも、妊娠なら出産までの見通しは立ちますし、どっちみちその後の育児を考えた場合、辞めるのは適切な判断でしょう。

で、うつ病などの精神疾患と仮定した場合。ここから先はあくまで医学的素人の意見なので、決して鵜呑みなさらぬよう。

精神疾患も無論身体的な病というか、直接的な原因は身体の中(もっといえば脳の中)の物質問題であることが多い。そこに至るまでの原因は多岐に渡りますが。いわゆるストレスとか、別の病とか。

とはいえ、その診断にあたってはアナログにならざるを得ません。一般的な病気のように「検査した結果あなたはインフルエンザのA型でした」とはいかない。医師が見て、問診して、最終的には経験則でなんとなく診断するしかない。そのあといろんな薬を試すなかで「やっぱりこっちだったね」というのもある。そういう病です。もっと言うと、病かそうでないかの線引きも難しい。結局のところ、当人が辛いと感じ、それをなんとか良くしたいと思えるかどうか。

というわけで、実際のところ宇森氏がどういう診断を下されたかは知る由もありませんが、少なくとも本人が何かしら辛いと感じ、「宇森ひなこ」を辞めたいと思ったことは事実でしょう。ならば、治ったら復帰してほしいというのはNGです。逆に言えば「体調が良くなったら宇森ひなことして復帰しないといけないのかもしれない」という無形の圧力が、その自己治癒力を妨げます。治ったときに辛い現実が待ち構えていたら、治るものも治りません。宇森氏はわざわざ休養ではなく引退を選んだのですから、戻ってくるという期待はしないほうがいい。彼女のためを思うなら。もちろん、余裕が出てきて「やっぱりやろうかな」となれば話は別ですが。そこは、一般的な職業よりフレキシブルな分、対応しやすいでしょう。

あとは、本当に体調不良なら、それと上手く付き合いながら徐々に良くしていくしかありません。このときの正解というのは存在しないも同然なので、もし不可解な行動をとったとしても「病人なのになぜそんなことをするのか」とは言わず、ただそっとしておくに限ります。わたしから言えるのは、きちんと医師のもとに通い、投薬を中心とした根気強い治療が必要ということ。古い方は精神病の薬に怖さを感じるかもしれませんが、抗精神病薬は昔と比べて進化しており、副作用や離脱症状もかなり抑えられたものになっています。また、薬を服んだからといってすぐ良くなるわけではなく、結局十分な休養をもってしか治ることはありません。治るというのも、いわゆる完治し発病以前に戻るというより、寛解という形で、病が再燃しにくい状態へと変わっていく(環境、当人の考え方なども含めて)ことになります。

もし中の人として活動したいならすればいいし、元稲荷くろむと仲良くしたいのならすればいい。すべて自己責任ですからね。個人的には、vtuberを辞めた以上あまり興味はありません。

 

次に、運営について。

日ノ隈さんが言っていたように、引退者が出ることでファンから不信感を持たれるのはやむを得ないことです。が、今いる演者が感謝していると言っている以上、何も言うことはありません。当事者しか知りようのないことだから。

ただ、もっと早い段階で宇森氏の体調不良あるいはモチベーション低下に気づき、なんらかの手を打つことは出来たのではないかな…とは思います。

そのあたりの今後の改善、例えば人それぞれのペースを管理・マネジメントし、きちんと手綱を取れる(あるいは演者から些細なことでも言いやすい)仕組み作りは必要かと。やる気があるからといってオーバーワークは禁物ですし、やることが無さすぎるとそれはそれで辛い。

今回の件を受けて、残るメンバーは少なからず精神的ダメージを負っているでしょうし、そのアフターケアやカウンセリングを請け負う人は確実に必要です。素人で済ませるのではなく、ちゃんとした資格を持つカウンセラーを雇うなり、通院分の費用を肩代わりするくらいはできるはず。まあ、温泉旅行や美味しいもの食べに行くというのも、間違いではないと思いますけどね。ただ、どうしても対症療法であることは否めない。落ち着いて自分の気持ちを吐き出せる第三者を雇う、というのがベストに思えます。これだけの規模になったのですから、それ相応のサポートも整備しなければ、いずれまたぶつかる問題です。

 

次に、残るメンバーについて。

因幡はねる。

リーダーとしての至らなさを嘆いていましたが、うーん。どう言ったものか。

周防氏と比べてどうこうという文言もありましたけど、別に周防さんだってリーダーとして特別優れているわけではない。前にインファイト型と表現したこともありましたが、リーダーとかそういうの抜きにして、あの人はああいう付き合い方なんです。

因幡さんは、人格形成時点で満足いく人付き合いが出来なかった、特に親との確執。「心の産毛が擦り切れたような」と表現したこともありましたね。端的にいうとアダルトチルドレンです。幼少期に得るはずの滋養を得られなかった。少しずつその溝を埋める努力をしているようには感じます。

本当のところ、リーダーというのは彼女にはやや荷が重い。いや、引退者が出たからという意味ではありません。彼女たちはいずれにせよ辞めていたでしょう。そうではなくて、本人がしんどい。何事も向き不向きがあります。慣れないことで徒らに神経をすり減らすのは、得策とはいえません。

正直、上記の経緯を考えると、自分のことで手一杯ではないでしょうか。

一個人の意見として言えば、日ノ隈氏にリーダーを禅譲するべきだと思います。これは前から感じていたことですが、今回の件で確信しました。そこまで行かずとも、3人になったのを好機と捉え、もっと役割を分散させる、あるいは持ち回りにすることも考えられます。

 

その日ノ隈らん。

おそらく彼女は、あの場でどんな話をすべきか、どう空気を読むべきか、どの流れが比較的正解で、多くの人の理解を得られるかが、なんとなくではあるが分かっていた。また、この方向は良くないなというのも察知していた。具体的にこの場面というのはあるのですが、あれをもう一度見るのがしんどいので、正確に示すことが出来ません。もしどうしてもこのことが理解できず、どこを根拠に言っているか知りたいということでしたら、日を改めてということでご勘弁のほどを。

これまであくまで因幡はねるのサポート・裏方に徹してきましたが、もう彼女は限界です。日ノ隈らん、あなたが表に立って、自らの判断に自信と責任を持って、他の2人を強く率いるべきです。それが適材適所というもの。上とか下とかではなく、どうすれば円滑に物事が進むかという話。ただし、それだけの覚悟があるかどうか。少なくとも因幡氏は、不得手なりに認められるよう努力してきました。あにまーれを今後とも上手く運営するためには、日ノ隈氏の覚悟が必要です。脳みそフル回転させて判断し、その判断に自信を持ち、周りに流されず、きちんと言うべきことが言えるかどうか。間違っているかも知れなくても、そのとき考え得る最善の策を即座に提示する勇気があるか、どうか。

偉ぶるのではなくて、信頼してついてきてほしいと言えるかどうか。それだけの信頼を築く努力と、責任を負う覚悟があるかどうか。

はっきり言って、人の上に立つなんて何のメリットもありゃしません。ただしんどいだけです。でもそれをずっと1人に任せてきたのなら、そろそろ交代も考えましょう。仰る通り、リーダーなんて十人十色で正解はないんですから、1人に押し付ける必要もありません。

もちろん、あからさまにリーダー交代する必要もない。きちんと自分の考えを示していれば、いずれ自ずとそうなるはずです。

 

最後、宗谷いちかさん。

少しは目が覚めたかも知れませんね。でもまだ、自己承認欲求に囚われているのかもしれない。因幡さんもそうでしたが、「ファンが離れるのが怖い」「ファンに申し訳ない」という気持ちが先行していた印象です。

まずは「宇森ひなこがなぜあそこまで至ったのか」が来るはずです。その原因を自分たちなりに理解して、今後そういうことがないよう努める。改善策を提示する。まあ、これは本来運営がやるべき仕事ですので、これ以上は言いません。

宗谷さんもだいぶ自己評価が下がっていて、メンタルにきているようでした。ただし、自己評価はいくら周りの人に無条件肯定されたからといって、上がるものでもありません。いいねの数や優しいリプライ、再生数や登録者数も究極的には無意味です。その場しのぎにはなっても、根本的な解決にはならない。あなた自身が納得のいく何かを生み出せた場合にのみ、回復します。もう一度、自身のもつスキルや才能を見直して、一体自分は何をしたいのか考え直す、そういう最後のチャンスかもしれません。

 

長くなりましたが、以上です。各人が満足いく人生を歩めるよう、陰ながら応援しております。では。

 

 

(字数に含まれない追記)

「単なる移籍ではないのか、久遠千歳とは違うのか」との旨のコメントを頂戴しましたので、念のため知っている範囲での個人的な認識を記します。おそらく分かっている方には目新しい話ではないので、ご了承下さい。

宇森氏はいわゆる「転生」というより、宇森ひなことしての活動を辞め、もともとあった名義での活動を再開した…という表現になるかと思います。なぜ「宇森ひなこ」ではダメで、もとの名義での活動ならオッケーなのか、こればかりは本人にしか分からないことでしょう。

応援していた人は、いわゆる「中の人」に魅力を感じていたのであればそちらを追い続けるでしょうし、「宇森ひなこ」の部分に魅力を感じていたのであれば残念、ということになりそうです。

「中の人」と「vtuber」としての魅力は分別しづらいところもありますが、例えばキャラクターの見た目であったり、界隈での関係性であったり、意図的に/無意識に演じ分けている部分であったり、そういうところで違ってくるかと思います。

久遠氏については、転生先の声明ぐらいのことしか知りません。「久遠千歳」を辞めることは決めていて、そこに良い話が来て、よりやりたいことに集中できるキャラクターへ転生したというところでしょうか。

というわけで、宇森氏と久遠氏では事情や経緯が多少異なると、わたし個人は見ています。

追記は以上です。