おめシスの『白日』が良かった話

(2059字)

初めて、おめシスの歌で心動かされました(超失礼)。

先日投稿された『白日』のおめシスverですね。

今までもおめシス的には「歌も武器!」というテイで活動してきましたが、正直なところ、好きなのはとても伝わるんだけれど、眼を見張る歌唱力や歌声の持ち主かというと…でした。

特にこの界隈は黎明期から富士葵がいましたし、その後もYuNiだったり、花譜を始めとする神椿勢など、明らかに一般人の域を大きく逸脱した歌うまvtuberが途切れることなく登場したので、フィーチャーされずとも仕方ない状況でした。

だけれど、今回の『白日』はわたしの心を捉えて離さなかった。なぜか?

 

単純な技量なら、他の歌で売っている方のほうが上です。『白日』なら緑仙さんも歌っていますし。でも、それをひっくり返すだけの良さがあった。

 

まず、映像が素晴らしい。原曲のMVをオマージュして、あの印象的なモノクロームの世界と存在感のあるポップガード付きマイクをセッティング。さらに、曲のシリアスさとおめシスらしいコミカルさをうまく取り込んだストーリー仕立てになっている。

原曲はこちら。

次に、おめがリオのハスキーボイスがこの曲によく合っていた。これがないとこの曲は始まりません。

そして、おめがリオの歌い方を聴く限り、おそらく例のあのシリーズを見て勉強したことが察せられます。

このブログでは2回目のご登場になりますね。以前『Pretender』の話をしたときにも触れました。

リオさん、よく勉強してらっしゃいますね。一番分かりやすいのは、「知らず知らず」ですか。上の動画で「知nらず知nらず」という風に、ラ行の前に気持ちnの音が入っている(というか、直前まで「ナ行」の口で準備しつつギリギリで「ら」と発音する感じでしょうか)と分析がなされていますが、リオさんもそれをかなり意識した歌い方になっています。そのあとの「犯した」の部分、ここはエッジボイスで「お゛」という風に解説されているのですが、ここはリオさん、ちょっと意識し過ぎて上手くいかなかったように見受けられます。というか、ウィスパーボイスでエッジボイス、しかもちょっと低めの取りづらい音程の入りなので、全部をパーフェクトというのは単純に難しいというのもあります。

ここまででお分かりの通り、ちゃんと下調べして、かなり本気でこの歌を歌っているんです。その心意気がすごく良い。

そのあとの「歩き出さなきゃ」ではエッジボイス上手くいってますね。「あ゛」って。フォールも「煌めいてみえたとしても」では諦めてる感ありますが、「降り頻ろうとも」では手の動きも合わせてちゃんと意識したフォールに聴こえる。

Bメロは女性には辛い低めのパートですが、しっかり歌い切っています。ここで映像は完全にモノクロになり、過去の回想になります。リオさんがレイさんを植えた鉢を大事に育ててる感じでしょうか。

サビに入るとその植木鉢に植わっていたはずのレイさんが成長して飛び出してメイン担当。ここは割と自由に、レイさんの好きなように歌ってますね。最後に窓から飛び降り、リオさんは驚きと幾ばくかの悲しみの表情。

再びAメロ。「昔のようには」の「よう」の部分が若干音程不安ですが、それ以外は先ほど言ったポイントをほぼ丁寧に抑えています。エッジボイスやフォールなど、出来る範囲で気を配った歌い方。

再びBメロ。低いが頑張る。そしてモノクロ回想、やはりレイ鉢を愛でていたリオ。

サビ。飛び降りたはずのレイさんが、意味深に置かれたリボンの見える鉢植えからではなく、壁からひょっこり現れる。そしてまた飛び降り。

Cメロ。ここの回想では、鉢を頭に乗っけたり、ペシペシ叩いてみたり。

そのあと、実は飛び降りではなく壁のへりに捕まっていたことが判明。救いの手を差し伸べるリオさん。

転調サビ。何故か二人でへりに捕まっている。ラストでリオ転落。手を振るレイ。

(追記:最後のシーン、影がかなり印象的でしたが、今日の動画でマテリアル…テクスチャみたいな感じかな?を変えていたことが明らかになりました。流石、バーチャルな技術の実用開拓には抜かりありませんね。)

 

…という感じでした。こうやって見ていくと、歌ってみたも面白いですね。人間味のあるリオさんと、サイコパス味のあるレイさんというキャラ立てが活きたMVです。

最後の補足で、ドラムの面から『白日』を解説している動画も見つかったので、念のため載せておきます。

皆さんも、ビビッとくる「歌ってみた」があれば、ぜひじっくり聴いてみて、その良さを教えてくださると幸いです。

それでは。