注意書きとコメント所感と『蒼い蝶』のもやもや

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箸休め記事です。

 

 

図らずも、蒼月エリの引退により、それまでこのブログをご覧にならなかった方が辿り着いている可能性があります。

以前にも書きましたが、念のため、注意事項を1つだけ。

 

基本このブログは、読まずに済むのであれば、そのほうがずっと幸せです。

何かこう、上手く説明できないもやもやに突き動かされてここに来た、というのであれば止めません。ニッチな内容ゆえ、普通にしていればそういう人しか来ないのですが、今回は事情が特殊なので一応。

どんな駄文も名文も、最終的に刺さるのは2、3人です。たくさんの人の目に触れれば触れるほど、刺さる人まで届く可能性が高まりはします。でも、それだけです。それはそれで、大切なことだけれども。

 

要は、自己責任ってやつです。

 

 

続いてコメント所感。

ついでなので書いておくと、このブログは今回のように匿名でコメントできます。私にも誰が誰だかわかりません。「誰が」よりも「何を」のほうが遥かに重要ですから。一応、私が目を通してから公開されるので、よっぽど変なもの(スパムとか業者とか)じゃなければ大丈夫です。仮にヤバくてもそのまま封印されるだけなので、お気軽にどうぞ。

 

で、今回のコメントについて。

「『蒼い蝶』の歌詞は、蒼月エリの歌手の夢を知った上で書かれたのでは」と。

なんとも難しいところですね。

 

蒼月エリが周防パトラに夢を語っていたかどうかは、正直よく分かりません。が、以前のコメント所感記事で触れたように、傍からみて「周防パトラと蒼月エリにとって、ハニストが足枷になっているのでは」と思わせる部分があったのも確かです。もしかしたら、中にいる周防パトラは蒼月エリに対して、ずっと強くそう感じていたのかもしれません。蒼月エリ本人が言わなかったとしても。周防パトラ自身も、可能ならそういう世界で食っていきたいと思ったことは、一度や二度ではないでしょうし。少なくともハニストメンバーのなかでは、そういう世界に1番近かったわけですから、ある種の予感はあったかもしれません。

 

いずれにしろ、そう思わせるだけの何かが『蒼い蝶』の歌詞にはある。今回の件抜きだと、少し違和感ありますし。

 

 

違和感といえば、最後に『蒼い蝶』のもやもやを。といっても歌詞ではなく、リズムの話です。音楽的知識も素養もないので、大して踏み込めないし、解決もしてないのですが。タブ譜とか楽譜があるかなと探してみたのですが、有志によるギターのコード譜しか見当たらなかったので、そのへんご了承を。

 

『蒼い蝶』は、裏拍が基本のリズムだと思っています。イントロのシンバルとか、Aメロのハイハットを聴く限り。そのあと、Bメロに入ると一旦表拍になります。ここら辺はメロディーラインも含めて、スッキリした感じ。一抹の寂寥感と明るさ。問題は次です。サビの直前3〜4小節あたり。ここがなんか気持ち悪い。いや、良いとか悪いとかでなく。多分、もう一回裏拍に戻ってるだけ…だと思うんですが、聴き慣れるまでリズムが取りにくくて。もしかして三連符?と思ってしまうくらい。これが、インスタントな音楽に慣れてしまった私の耳のせいなのか、そうでないのか。ずっともやもやしております。米津玄師の『vivi』みたいに、あえての不協和音が存在するというのはどこかで読んで知りましたが、リズムはどうなんでしょうね。

 

 

どっちみち、リアルタイムで『蒼い蝶』を聴ける機会は当分ないでしょうから、それまでにゆっくり考えることにします。作曲者直々に「エリだけの曲」と言い切ってしまいましたし。そうでなくても、あれを見せられた後で歌う勇気のある人は、なかなかいないでしょうけど。

 

もし間違いなどあれば、ご指摘いただけると幸いです。それでは。

改めて、これからハニストの話をしよう

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ヒカルの碁』で、進藤ヒカルが囲碁部を辞めたときのことを覚えていますか?

塔矢アキラを追いかけて、プロを目指して院生になる。もう、アマチュアの大会には出られない。最後、三谷たちに実力を示した上で囲碁部を去っていきました。中学生の彼らはやや喧嘩別れになってしまいましたが、皆さんはどうでしょうか?

 

あるところから離れるということは、そこにいるよりも優先すべきこと、今やらねばならないことができた、ということです。蒼月エリに限らず。

もし仮に歌手として大成したいのなら、やることは山ほどあるでしょう。ギター、ピアノ、作詞作曲etc。「街角のギター教室に通ってます」というレベルではなく、もっと本格的な取り組み、たとえばその筋のプロに師事したり、専門学校に通ったりというような。上手くいくかはわかりませんが、挑戦する価値があることは確かです。少なくとも、ハニストにいるままでは、そういう夢は叶わない(あるいは想像するのが難しい)と判断したからこそ、辞めたわけです。このあたりの話は、少し考えていることがあるので、別途記事を設けます。ハニスト個別というより、大雑把なくくりの話になりますが。

 

今回のことで意識した人も多いでしょうが、私たちはvtuberを見るとき、人を見ています。本来は、VRや3DCGなどの技術に対する飽くなき探究心。それは、彼ら技術者にしかわからない、ささやかな楽しみでした。その後、どこかの有識者が言うように、自由度の高いアニメの延長上とか、交流可能なキャラクターとかが1つの模範回答になりました。しかし、今そういう捉え方をしている人は、もう少数派ではないでしょうか。バーチャルさんは見ているのかもしれませんが、少なくとも私は、バーチャルさんを見ていません。いつの時代も、人は人に目がいってしまうのです。

 

 

とにかく。マサラタウンのサトシも、バイバイバタフリーしてるのです。もう、感傷に浸るのは十分でしょう。

 

 

現実問題。因幡はねるも言っていたように、今いるメンバーが最優先になります。それにしても、この人は本当に話の持っていき方が上手ですね。いや、皮肉でなしに。

せっかくの機会なので、因幡はねるのレトリックというか、話術に軽く触れておきましょう。色々ありますが、重要なのは仮想敵の設定です。ふわふわした、実体のないもの。あるいは、向こうはこちらに興味がないので、喧嘩を売ったところで問題ないもの。こういうものを仮想敵に設定することで、自分の主張とのコントラストをはっきりさせたり、聴衆を味方につけたりすることが可能です。または、明らかに論理の破綻しているものを敵に置くことでも、自らの優位性を補強することができるでしょう。もちろん、全部がそうだというわけではありません。あくまでもともとの考え・主張があってこそ。でも、この「先手を打ち間合いをはかることで、下手に敵を作らない」術が、この世界で長年生きてきた秘訣の1つ。仮にアンチが発生しても、明確に理屈で糾弾できる弱みを見せないので、最悪の事態にはなりません。『クレヨンしんちゃん』のネネちゃんが、ミラーマッチするようなものですね。お互いぬいぐるみを殴るだけなので、人的被害は最小限に留まります。ただリスクもあって、これに習熟し過ぎて癖になってしまうと、逆に人との距離の詰め方が分からなくなります。難しいものですね。

この技術、周防パトラにはないものです。基本インファイトですから。まあ、だから良いとも悪いとも思いません。どちらも個性です。

 

ハニストは、周防パトラがメンバーの懐に入り込んで作り上げたグループでしたから、今回の脱退は痛手です。が、これを良いきっかけにして、一体どこに向かうつもりなのか、メンバー間で意思の擦り合わせをする必要があります。少なくとも蒼月エリは、自分の目標と、ハニストの目指す場所が違うという結論を出して卒業したわけですから。

 

それに見合うだけの何かを得るのは、今しかありません。

(5/23 加筆修正 のち再加筆)

これからハニストの話をしよう

と、銘打ってはみたものの。

 

やはり、昨日の出来事を消化してからのほうがよさそうです。少しだけ、感傷に浸りましょう。

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最初に「まずい」と思ったのは、全員集合してからの島村シャルロット。うんともすんとも言えず、ただ泣くのを我慢するのに必死という様子で。

そのあと、蒼月エリ一人のためのステージが見えてきたところで、私は早くもギブアップしました。

一曲目の『花瓶の花』の途中から、蒼月エリも声が震えていましたね。

 

最後に、それぞれが別れの言葉をかけるわけですが。

西園寺メアリは、ある程度話す内容を準備してきたと言いながらも、その場でしか生まれない感情をきっちり掬い上げていました。非常に優れたスピーチだったと思います。

逆に周防パトラは、準備したものに囚われすぎて、やや置きにいった感じが出てしまった。まあ、これも彼女の個性です。上手な人付き合いを、本で勉強しようと考える人…悪魔ですから。ただ、途中の「ハニストを忘れられないよう、もっと有名にして、秋元パトラに曲を書いてもらったんだとエリが新しい世界(おそらく歌の)でも自慢できるくらい頑張る」という下りは、実感がこもっていました。これについては長くなりそうなので、また今度にしましょう。

島村シャルロットは、やはりというか、ボロ泣きでしたね。でも、「想い出」に昇華できているのなら、あまり心配していません。バケツいっぱい涙を流せば、前を向けるはずです。

 

問題は、堰代ミコ。あれだけの間があって、最初に出てきたのが「一緒に廃坑行こうって言ってたのに」では、蒼月エリも「ごめん」としか言えません。かなりの重症です。結局、配信内で「ありがとう、さようなら」を言うことは出来ず仕舞でした。まだ、彼女のなかで蒼月エリの喪失は現実化していません。このままだと、時間で解決することも出来ない。

だからといって、私にかけられる言葉もありませんが…。

 

 

ただ、1つだけ。

堰代ミコには、溢れんばかりの才能があります。私が言ってもなんの説得力もありませんが、あなたを10ヶ月間、1番近くで見ていた彼女が「すごい」と言っているのだから、間違いありません。あなたの人生がまばゆい光を放つかどうかは、そこにかかっています。その才能を生かすも殺すも、あなた次第です。

 

どうか、忘れないで。

(5/22 微修正)

蒼い蝶

(322字)

手短に。

 

こういうブログを書くのは、vtuberについてのもやもやしたことを文章化して、整理整頓して、なるべく客観視できるようにしたい。そんな思いが根っこにあります。

裏を返せば、私のなかでvtuberは終わっているとも言えます。もし現在進行形なら、文章に固着させるのはほぼ不可能でしょう。

 

ですから、こんな風に泣くとは思いもしなかった。

これだけでも、追ってきた価値はあった。

 

ハニスト、いいグループですね。滅多に見られないものを、見せてもらいました。

前回の記事ではまだ疑心暗鬼な部分がありましたが、それももうありません。

 

あとは、それぞれが歩んでいく道のりを、しっかり見届けようと思います。

 

 

(追記:後日改めて記事を書きます)

コメント所感(蒼月エリの引退について)

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…いや、驚きましたね。

堰代ミコに何かあったのかと思いきや、蒼月エリとは。

 

しかし、私たちよりもハニストメンバーのほうが、衝撃の度合はずっと大きいでしょう。その心中、察するに余りあります。

 

 

あにまーれの稲荷くろむが引退したときは、もう少し予兆めいたものが見受けられたのですが、今回は突然のこと。メンバーの反応を見る限り、軟着陸ではなく、ハードランディングになってしまったようですね。全員にとって、もっと良いタイミングでの伝え方があったのでは。とはいえ、今更そんなことをいっても始まりません。

 

以前稲荷くろむの記事で、なぜ辞めたのかを当人の見解とは別の角度で述べました。蒼月エリの場合、どこまでその経緯を語るのかはわかりません。が、前に別の記事で書いたように、一人全く別の畑から来ているというのは、もしかしたら稲荷くろむ同様遠因になっているかもしれません。配信者として生きていくというのは、それ相応の覚悟や適性が必要ですし、また個々人の状況がマッチしていなければ茨の道ですから。

 

もし歌で生きていくのなら、 もちろんvtuberは最良の道ではありません。実力さえ認められれば、本来のルートがいくらでも整備されています。蒼月エリにとってより良い転機になることを切に望み、陰ながら応援させていただくこととしましょう。

 

 

で、問題はハニストです。コメントでご指摘の通り、正念場を迎えましたね。

デビュー当初は飛ぶ鳥を落とす勢いでしたが、ここしばらくは停滞気味です。しかし、それ自体は特に問題だとは思いません。界隈での認知度はありますし、ほぼ実力相応の評価はされているはずです。あとは当人たちと運営の努力次第。

 

 

ただ、いくつか気になる点だけ。

 

まず、蒼月エリの引退が、なぜここまでメンバーに影響を与えたのか?

 

おそらく、最初に知った堰代ミコが、業務遂行困難な精神状態に陥った。それについて説明できるまではグループとして活動しづらい。他メンバーも多かれ少なかれショックがあるので、数日間の沈黙に至った。引退配信の日程も、多分スケジュールの合う最短の日付に設定された。今、この日までに、心の整理をつけることが要求されています。

 

ハニストは屈指の仲良しグループとして知られていますが、それが諸刃の剣であることは以前も述べた通りです。今回は、それが自らの身に深く突き刺さっています。

 

書き方が難しいのですが、誤解を覚悟の上で書かせていただきますね。

仕事をやっていく仲間として、適切な距離を取れていたか?

いえ、別に仲が悪いとかそういう話ではありません。というより、仲の良し悪しは究極、vtuberを始めたいていの仕事とは無関係です。そりゃ、良いに越したことはありませんが。

一般論として、付き合いが密であればあるほど、互いを理解するのも早いし、飽きるのも早いものです。近過ぎる距離感は、多くの場合危うい。そのことは、周防パトラが1番よくわかっているはずです。

 

ハニストの仲の良さは、周防パトラのトラウマが根幹にあるという話は、以前にもしました。彼女の人付き合いは、常にその裏に怯えがあります。特に対女性の場合。相手にどう思われるか不安で、あの手この手のおもてなしをする。それは、彼女の人生を考えれば仕方のないこと。決して間違いだとは思いません。ただ、来るべき時が来たというだけです。

いつまでも、仲良しこよしじゃいられない。どんなグループでも、同じ人(あるいは悪魔その他)じゃない以上、それぞれがそれぞれの目標に向かうべき時が来るのです。

 

 

2つ目。

今後ハニストはどうするのか?

というのも、ハニストはメンバーの仲の良さを基盤に成立していました。個々人の企画においても、メンバーの存在ありき、ハニスト全員を知っている前提のものが多く見受けられます。良くも悪くも一連托生でした。そういうところの見つめ直しを、迫られています。それも早急に。

残る4人は、何を目指すのか。会えはしないけれど、ファンサービスを欠かさないネットアイドル?配信者?ゲーム実況者?YouTuber?歌手?声優?マルチタレント?

 

そこを己のなかでハッキリさせなければ、進むべき道は見えてこないでしょう。

 

 

 

明日、みなが納得して送り出せる日になることを願うばかりです。

蒼月エリの歌は、公開オナニーである

と、思っていました。

 

先日公開された『ロキ』を聴くまでは。

これは、考えを改める必要があるかもしれません。

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…ひとまず、話のふりだしに戻りましょう。わたしたちは今、vtuberと「若さ」について、ぼんやり考えを巡らしているところでした。

 

蒼月エリもまた、そのやや危なっかしい「若さ」を魅力のひとつとして孕んだvtuberです。

 

「コーヒー豆」事件をご記憶の方なら、わざわざ指摘されるまでもないことかもしれません。その後見せた痛ましいほどの反省具合も含めて、視聴者が彼女の為人に触れる良いきっかけになったと思います。まあしかし、これは若さというより、彼女のなかの旧時代的価値観に拠るところが大きかったのかもしれません。個人的には、こういう危うさをツイッターで発揮したら面白いと思うのですが(「マジ射精受精妊娠出産」的フレーズなど、冗談とかではなく、とても言語感覚に優れていると思っています)、今の立場を鑑みてそんな危険を冒す必要がないので封印、という判断もまた妥当かと。

 

さて、そろそろ今日の本題に移るとしましょう。

もちろん、歌手活動や配信業は、須らく自己満足・自己承認欲求に関わります。蒼月エリに限った話ではありません。なんならこの業態に限った話でもなく、全ての人の生き様と根深く結びついています。

蒼月エリの歌について殊更こう書くのは、そのアンバランスさが目を引くからです。ふつう、あそこまで技術的に卓越すれば、自己満足では収まらなくなり、もっと普遍的な価値をもたせたい、多くの人の心を奪えるようになりたい…というステップアップを踏むのが常。なのに、彼女の歌は有り余る才能をほぼ自己満足に費やしています。いわば、超絶技巧の公開自慰なのです(それはそれで、刺さる人がいるかもしれませんが…)。

 

 

今回の『ロキ』は、堰代ミコとのデュエットソングになりました。

vtuberの『ロキ』というと、天神子兎音や織田信姫が真っ先に思い浮かびます。特に天神子兎音は、その当時としてはかなり先進的だった3D体のMVが印象的。

今やすっかり田中ヒメ&鈴木ヒナの代名詞になりつつありますが…。人気ボカロ曲ということで、一通りのメンツが歌ってはいますね。デュエットで出しているところもあるようです。

個人的なことを言うと、今回初めて最後まで聴くことができました。歌詞がコテコテというか、拗らせ気味というか、いつも1番でお腹いっぱい。「あ〜食べたいな〜」と思って食べる最初の一口はめちゃくちゃ美味しいんですけどね、食べ切る前に飽きるインスタントラーメンしょうゆ味現象と勝手に命名しております。

 

で。

問題は、蒼月エリにとって今回の『ロキ』が、なぜ、どのような変化をもたらしたのか?

先ほど申し上げたように、堰代ミコとのデュエット。その点に尽きます。

 

ハニストメンバーでのグループ曲はすでに複数ありますが、そちらで浮いてるという話は以前したので、割愛させていただきます。

デュエット自体も、すでにやっています。周防パトラとマクロスの歌『ライオン』を(念のため調べたら消えていますね。アレンジが効かずにYouTubeからNGでも出てたんでしょうか)。ただこの周防パトラとのデュエットというのがなかなかに厄介で…。

周防パトラの声をソシャゲのリセマラサイト風に例えるなら、次のようになります。

 

「周防パトラの声:Cランク

とにかくピーキー。これがあると特定のイベントがぐっと楽になるが、いかんせん汎用性に乏しいので、リセマラでの優先順位は低め。やり込みには必須だが、最初に狙うべきではないのでこのランキングになった。」

 

だいたいのニュアンスは伝わったでしょうか。基本的に、電波ソング一点突破で、合う合わないがハッキリした声です。デュエットも相手を選びます。実際、同じ相手とのユニットを音楽活動の拠点の1つに据えて、長年やってきました。

そういうわけでパトエリのデュエットは、一緒に歌ってるようで一緒に歌ってない、なんとも奇妙な感じに終始しました。

 

翻って今回のミコエリデュエット。

ハニスト内で比較的、蒼月エリと歌唱力が近く、かつメタモンが如き天性の役者魂をもつ堰代ミコだからこそ、蒼月エリのデュエットが事実上初めて成立したのです。

 

冒頭と中盤の計二度挿入される蒼月エリの嬌声シャウトをお聴きください。吹っ切れているでしょう?そうでなくては、特にこの曲は務まりません。中途半端な距離感では逆に恥ずかしくなります。ガッツリ入り込む必要がある。それに応えるほど世界に没入できるのは、ハニスト内にただ一人、堰代ミコを措いて他におりません。

 

といっても、そこは上手の蒼月エリ、きちんと堰代ミコをリードしています。歌唱力の差からいって、堰代ミコ側に小細工をかます余裕はありません。七色の声は封印、ほぼ地声のトーンです。全力でぶつからなければ、このデュエットは成立しなかったでしょう。

 

 

 

今回の『ロキ』は、決してただの公開オナニーなどではありません。互いに互いを思いやった、二人きりのイチャラブ公開セックスです。

自己満足から、相互満足へ。一人称から、二人称へ。

いつか、素知らぬふりの群衆をも己の世界に引きずり込むことができたなら、そのときこそ蒼月エリは、歌手として1つの到達点を迎えることでしょう。

 

 

彼女には、それを為すだけの「若さ」があります。

宇森ひなこにみる「若さ」という特権

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さて、どこから始めたものか見当もつきませんが、とりあえず宇森ひなこといきましょう。

 

無論、ここでいう「若さ」はいわゆる実年齢とは無縁ですし、宇森ひなこに限った話でもありません。その必然性は、とりあえずビールと同程度です。

 

 

初めに、しばし昔話にお付き合いください。どれくらい昔かというと、この記事が萌芽した頃は、まだ宇森ひなこの収益化が通っていなかった…それくらいの時間感覚です。

 

そう、彼女は長らく収益化申請をリジェクトされていた。まあ、若さ故と言えばそうかもしれませんね。とはいえ、これは今いう「若さ」云々というよりは、シンプルに自分の立場を見誤った結果でしょう。

 

いずれ書きますが、特にツイキャス主から移行した場合、楽曲等の著作権に関する認識の甘さは、配信者として身を立てる上で致命傷になり得ます(にじさんじ一期生を見て学んでほしかったものですが)。ツイキャス主に限らず、個人で趣味程度に行う配信では、そこらへんキリがないので仕方なく看過されている。それと同じことを職業:配信者がやって見逃されるわけもありません。宗谷いちかも、当初はかなり危うい橋を渡っていました。

誤解を恐れず言えば、初期あにまーれは炎上上等というか、なんの後ろ盾もない中でのサバイバルゲーム、とにかくパンチを効かせて名前を売ってやる、という方向性でした。下ネタ(といっても可愛いものですが)然り、著作権的にアウトな歌枠然り。その連打のなかで受け手の鳩尾にクリーンヒットしたのが、宇森ひなこのコンギョです。しかし、そのデカすぎるラッキーパンチの反動を受け止めきれず…という話は、以前にも書きましたね。

 

ここで言いたい「若さ」とは、例えば因幡はねるへのリスペクトからか謝罪芸を丸パクリしてみたり、あにまーれ各メンバーに秋波を送ってみたり、かと思えば後発ハニーストラップの周防パトラにすぐさま影響されてASMRに凝り始めてみたり…そういう、アッチへふらふら、コッチへふらふら、なところです。

これは決して悪口ではありません。学ぶが真似ぶから来ているなんて話を持ち出すまでもなく、先達の真似をすることは、物事の習熟に欠かせない要素ですから。

ただ、彼女の場合(多くの人が通る道とはいえ)、影響されやす過ぎる。他者の真似は、少なからず自身にストレスをかけます。敢えて自らを別人の型に嵌め込むのですから、度が過ぎれば精神的自傷行為になりかねません。とはいえ、それも「若さ」ゆえ。自分のスタイルを確立してしまった人にとって、二度と見ることの叶わぬ景色のなかでもがく姿は、貴重な一コマです。

 

極端な話、収益化が通らずとも、vtuberとして成功せずとも、いいんじゃないかとすら思っていました(収益化は通ったわけですが!)。

「若い」彼女には、またいつか別のステージが巡ってくるような気がしたからです。それこそ、今の周防パトラのように。どうも、若かりし頃の周防パトラを重ね合わせてしまいます。それこそ童話のコウモリのような、身を滅ぼしかねんばかりの八方美人ぶりも含めて。

 

これからどう成長するのか、花開くときは来るのか…それは、宇森ひなこ次第。

なにしろ彼女は、その名の通り、コウモリの雛ですから。

 

 

 

…本当は「若さ」というテーマで他の人の話もするつもりだったのですが、収まりがいいので一旦切り上げるとしましょう。

また、次の記事で。

(2019/05/13微修正)