改めて、これからハニストの話をしよう

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ヒカルの碁』で、進藤ヒカルが囲碁部を辞めたときのことを覚えていますか?

塔矢アキラを追いかけて、プロを目指して院生になる。もう、アマチュアの大会には出られない。最後、三谷たちに実力を示した上で囲碁部を去っていきました。中学生の彼らはやや喧嘩別れになってしまいましたが、皆さんはどうでしょうか?

 

あるところから離れるということは、そこにいるよりも優先すべきこと、今やらねばならないことができた、ということです。蒼月エリに限らず。

もし仮に歌手として大成したいのなら、やることは山ほどあるでしょう。ギター、ピアノ、作詞作曲etc。「街角のギター教室に通ってます」というレベルではなく、もっと本格的な取り組み、たとえばその筋のプロに師事したり、専門学校に通ったりというような。上手くいくかはわかりませんが、挑戦する価値があることは確かです。少なくとも、ハニストにいるままでは、そういう夢は叶わない(あるいは想像するのが難しい)と判断したからこそ、辞めたわけです。このあたりの話は、少し考えていることがあるので、別途記事を設けます。ハニスト個別というより、大雑把なくくりの話になりますが。

 

今回のことで意識した人も多いでしょうが、私たちはvtuberを見るとき、人を見ています。本来は、VRや3DCGなどの技術に対する飽くなき探究心。それは、彼ら技術者にしかわからない、ささやかな楽しみでした。その後、どこかの有識者が言うように、自由度の高いアニメの延長上とか、交流可能なキャラクターとかが1つの模範回答になりました。しかし、今そういう捉え方をしている人は、もう少数派ではないでしょうか。バーチャルさんは見ているのかもしれませんが、少なくとも私は、バーチャルさんを見ていません。いつの時代も、人は人に目がいってしまうのです。

 

 

とにかく。マサラタウンのサトシも、バイバイバタフリーしてるのです。もう、感傷に浸るのは十分でしょう。

 

 

現実問題。因幡はねるも言っていたように、今いるメンバーが最優先になります。それにしても、この人は本当に話の持っていき方が上手ですね。いや、皮肉でなしに。

せっかくの機会なので、因幡はねるのレトリックというか、話術に軽く触れておきましょう。色々ありますが、重要なのは仮想敵の設定です。ふわふわした、実体のないもの。あるいは、向こうはこちらに興味がないので、喧嘩を売ったところで問題ないもの。こういうものを仮想敵に設定することで、自分の主張とのコントラストをはっきりさせたり、聴衆を味方につけたりすることが可能です。または、明らかに論理の破綻しているものを敵に置くことでも、自らの優位性を補強することができるでしょう。もちろん、全部がそうだというわけではありません。あくまでもともとの考え・主張があってこそ。でも、この「先手を打ち間合いをはかることで、下手に敵を作らない」術が、この世界で長年生きてきた秘訣の1つ。仮にアンチが発生しても、明確に理屈で糾弾できる弱みを見せないので、最悪の事態にはなりません。『クレヨンしんちゃん』のネネちゃんが、ミラーマッチするようなものですね。お互いぬいぐるみを殴るだけなので、人的被害は最小限に留まります。ただリスクもあって、これに習熟し過ぎて癖になってしまうと、逆に人との距離の詰め方が分からなくなります。難しいものですね。

この技術、周防パトラにはないものです。基本インファイトですから。まあ、だから良いとも悪いとも思いません。どちらも個性です。

 

ハニストは、周防パトラがメンバーの懐に入り込んで作り上げたグループでしたから、今回の脱退は痛手です。が、これを良いきっかけにして、一体どこに向かうつもりなのか、メンバー間で意思の擦り合わせをする必要があります。少なくとも蒼月エリは、自分の目標と、ハニストの目指す場所が違うという結論を出して卒業したわけですから。

 

それに見合うだけの何かを得るのは、今しかありません。

(5/23 加筆修正 のち再加筆)