ウマ娘とパワプロの違い

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※雑記事予定だったが、ウマ娘だけで終わったもの※

久しぶりにソシャゲのメガヒットが出ましたね。しかもウマ娘という…ほんと世の中わからないもんです。

認知度は前からありましたが、ご存知のようにネタ扱いで有名なタイトルでした。第一報が出てから音沙汰無しだし、JRA公認のはずなのに存在感薄いし、なんか馬主と揉めてポシャった的な見方が大勢を占めていた。「生まれる前から予後不良」とか、「安易な女体化で失敗した典型」とか、今からじゃ考えられないがそういう扱い。それがこの大当たり。

正直、個人的にはリリースされても半信半疑でした。事前登録してもまた年単位で待つのかな…とか、そもそもリリース自体フェイクニュースでは、と疑ってかかったほど。いざサービス開始しても、一ヶ月したら不具合の嵐でフェードアウトだろうと、大変失礼かつ悲観的な気持ちでおりました。ところがどっこい。

 

売れた理由はいくつもあるでしょうが、ひとつだけというなら「快適なリセマラ」。日本人(の特にソシャゲユーザー)はガチャ(ひいてはタダでいくらでも回せるリセマラ)が大好きなんですよ。勝手な偏見。でも、中国とかじゃランダムガチャは違法で出来ません。最終的に同じものが出るBOXガチャや、ロイヤルパス的な稼ぎ方が無料ゲームのメイン。カジノ難航中の日本は賭博のハードルが高く、その分の潜在的なギャンブル欲はまだ規制の緩いソシャゲに向かっている。で、ウマ娘はこのリセマラ環境がかなり親切だった。

さらに、ソシャゲと呼んだもののソーシャル要素はほぼ無く、基本はひとりでポチポチ楽しむゲーム。特に高度な操作性は要求されないし、バトロワみたく意思疎通必須のチーム戦でもない。どっちがいいというより、トレードオフですね。廃人向けに狭く深くか、にわか層を狙って広く浅くか。このゲームはあくまでも「競馬に興味を持つ人を増やす」のが目的なので後者を選び、そのタスクを見事にこなした。

中身はほぼパワプロです。さっき言ったプレイヤースキルを要求しない分、ウマ娘のハードルはより低い。というかよくパワプロシステムを流用しようとなりましたね。普通、競馬ゲーム作るとなるとダビスタ系統に引っ張られそうなものですが。その場合名馬そのものを育てるのではなく、名馬の種付券などを買い、配合を工夫した馬を育てる。ウマ娘は種付とかそーいう世界観ではないので、あくまで名馬(モチーフのウマ娘)そのものを育てる。

パワプロとの違いは、まず基本能力の上げ方。パワプロは全てを貯めたポイントで賄うので、基本能力も好きなタイミングで上げられる。複数種類あるポイントをどう貯めて、どう使い分けるか。基本能力も特殊能力(スキル)も含めて、トータルでのやり繰りになる。

ウマ娘は基本能力が直接上がる仕組みで、ポイントはスキル獲得にのみ使う。その代わりポイントは一元化。一種類。ポイントを貯めて、基本能力を本番直前にガーッと上げることは不可能なので、短期目標に合わせた判断も増える。

そして一番の違いは、シナリオ。パワプロ(アプリ)なら○○高校編というメインシナリオがあり、全く違うゲーム性や育て方を要求される。基本的に新しいシナリオが一番強い選手を作れるため、その環境変化によって使えるキャラも変わる。もっというと昔の選手は自然と使えなくなる。

ウマ娘でいうシナリオは、育てる各ウマ娘ごとに決まっている。とはいえ基本は目標レースに都度出て勝つだけだし、育成面も大差ない。環境変化しづらいため、ゆるく楽しめる。

あとは、競馬要素の因子。種付ではなく、ファンタジーな設定で、一度育てたウマ娘を実質親にしていく。競馬要素の面でも重要だし、各々の育成の目的にもなる。もちろん、リアル競馬よろしくゲーム内通貨を払って他人のものを継承することも可能。

 

そうそう、リアル競馬との兼ね合いという点もかなり重要でした。重要というか、センシティブというか。

まず、既存ファンに受け入れられるか。客層的にあまりフィットしない。まあ新規呼び込み目的なので、仕方ない側面もありますが。あと、名馬ってそこらのアイドルも目じゃないくらい愛されてますからね。偉人のように没後何百年とかでもなく、いわゆるナマモノ。オーナーサイドも金持ちの道楽というか、競馬好きがやってる。以前から二次創作については厳格な対応。ここの壁が分厚い。実際、ウマ娘も初動のミスで大手からNG食らってる様子。

個人的にはキタサンブラックの頃しか見てない超絶にわかですが、それでも女体化に抵抗感はありました。懐かしいですね。ラストで1枠1番引いて「やってんねぇ!」とか、サトノノブレスの名アシストとか。それはともかく、元ネタのキャラクター性が強すぎて二次創作には不向きと思いました。特にステゴ、ゴルシあたりは、演じろと言われるほうが恐ろしい。だってあれは再現不可だし、ファンの反感を買うのが関の山。

その意味でも、ぱかチューブはエグい。計画再編の空白期間を繋ぎ、ゴルシ役をその奮闘ぶりで認めさせた。

役割が分かっていたからこそ、続けられたのかもしれませんね。おしまい。