因幡はねると親子関係

(2043字)

少し、驚きました。

何かというとですね。

このブログ、今20個くらいの下書きというか、メモ程度のネタをストックしているのですが。

正直、守備範囲がニッチなので、他の人と被ることはまずないし、被ったところで大した内容じゃないので問題ありません。というわけで、先を越された!という状況はほぼ起こり得ない。

…のですが、唯一の例外を見落としていました。テーマとなるvtuber自身が、まさに想定している次の一手を放つこと。

 

というわけで、急遽この記事を仕上げる必要が出てきました。因幡はねるが今回の軸です。

 

とはいえ、書き渋っていたのにも理由があります。はっきり言って、余計なお世話だからです。この記事に限った話ではありませんが、特にその色が強い。しかし、ここ最近の動きを見ると、どうやら当人も気づいていそうなので、もう構わないでしょう。

 

因幡はねるは、非常に…独特なファン層を形成しています。それは、ある程度本人の目論見通りでしょう。前にも述べたように、後発のvtuberが生き場所を確保するには、それなりの手段が必要になります。ともあれ、あにまーれを軌道に乗せる上で最も貢献した1人であることは、論を待たないはずです。宇森ひなこもコンギョで露出度を高めましたが、こちらは本人の意図しない形での、偶発的なものでした(それからしばらくの間、いわゆる「コンギョキッズ」の扱いに苦慮していたことからも察せられます)。

この点が、2人の最大の違いです。自分をどう売り込むか、どういう人々に狙いを絞ってアピールするか。別に、宇森ひなこを貶める目的で言っているわけではありません(彼女については、また別途記事を設けます)。

因幡はねるは、圧倒的なキャリアを誇るベテランです。自分の強み・弱みをよく理解している。これといった後ろ盾もない中で道をこじ開けるには、自分にはこれしかないという方法で見事にやってのけた。もはや代名詞となった、ヘイポーリスペクトの謝罪風煽りなどが目を引きますが、彼女の本質はもう少し違うところにある。

 

それは、彼女自身が筋金入りの女性アイドルオタク・追っかけであること。彼女は、その心理と沼にはまり込む過程を身をもって知っています。

ベテランならではの、絶え間ない、一種物量作戦的な配信頻度(これは、心身が長時間の配信に慣れていて、かつ以前の配信をリメイクすることで仕込みの手間を省ける「貯金」がなければ無理な芸当です)。SNSで頻繁に行われるファンとの交流。あえて見せつける弱み。

こうして、ファンとの間に擬似的共依存の関係を形作ること。後々「厄介オタク」的負の側面が表出することも承知の上で、彼女はこの方法に賭けた。そして、一定以上の成功を収めた。

 

しかし、その方法にも限界があります。それに、後から来たハニストの周防パトラがあっという間に抜き去ってしまった。悪戦苦闘の日々。

 

人と人を比べるのは、あまり喜ばれた話ではないかもしれません。しかし『ヒカルの碁』で越智が言っていたように、プロになるとは「どっちが上?どっちが下?」と一生言われ続ける、そういう世界に足を踏み入れるということです。ここは彼女たちのプロフェッショナリズムに敬意を表し、あえて書きます。

 

周防パトラの最大のターニングポイントとなった配信は、どれでしょう?

私の答えは一つです。「正体バレました」の回。いわゆる探偵回ですね。同接が一つの壁を突破したというのもありますが、その中身が重要です。

親に配信者であることがバレ、今の職場で全力を尽くしたいと訴えかけ、最終的に理解を得た、という話でした。まあ、細かい話の整合性は問題ではなく、親との関係性が問題なのです。

価値観の違いはあったかもしれませんが、関係不和ということはなく、然るべき時にきちんと心をぶつけ合うことができた。

 

翻って、因幡はねるはどうか?

話を聞く限り、親子間のしこりを幼少期から引きずっています。それが、彼女の人間性に影響し、あの「心の産毛(私の造語ではないので悪しからず!)」が擦り切れたような感じにしているのです。あるいは、この欠落感・アンバランスさが、ファンとの擬似的共依存に一役買っているのかもしれません。

 

因幡はねるが努力家であることは、彼女を知るほとんどの人が認めるところでしょう。自身の持つ潜在能力は、引き出せるだけ引き出した。これ以上彼女に必要なものがあるとしたなら、それは勤勉な努力ではなく、親との解消し切れないわだかまりに、ケリをつけることです。

もちろん、そんなことは赤の他人が口出ししていい領分をはるかに逸脱してます。親子関係というのは、いつの時代も、誰にとっても、根深い。だから、余計なお世話と言ったのです。

 

しかし、ここ最近の因幡はねるには変化がありました。家族での旅行、母親との料理配信。

 

そう簡単に片付けられる問題ではありませんが…確実に、一歩踏み出した。と、私は勝手に思っています。