vtuberの卑下は無駄なワンクッション

(1992字)

と、最近風見くくを観ていて思います。

 

めっちゃ卑下するんですよね。何につけても、自分sageから入る。

一般に声真似で戦ってきた人は「元ネタに失礼」的いちゃもんをつけられないよう、どうしても保険をかけたがる傾向にあります。例えるなら「つまらないものですが」と言って「粗品」を渡すあれ。本当に「つまらない粗悪な品物」だと思っていたら、渡すほうが失礼。本音と建前というやつです。

しかしこの前置きが毎度毎度挟まると、テンポがダレる。風見さんの場合、前置きと用意したセリフを除いたらほとんど何も残らないのではと錯覚するくらい、ワンクッション挟まる。笑点の座布団も裸足で逃げ出すレベルです。

 

特にこんな商売をしている以上、自分を下げる手は通用しません。自分を好きじゃなければ、そこまで辿り着きようがないから。ジャニーズにありがちな「親/友達が勝手に応募して気づいたらこうなりました」と同じです。嫌なら断りゃいいだけの話。満更でもないから、今そこにいるんです。

それ自体はどうだっていい。誰しも少なからず自分を好きだし、そうじゃないと生きていけない。問題は、注目されることで成り立つ職種なのに、自分は大した者じゃないとアピールし続けること。これが山奥にひっそり暮らす仙人の言うことならまだ分かりますけど、わざわざネットを通じて世界中に自己を発信する人では、矛盾にしかなりません。

奇しくも最近杏戸さんが、似たことを述べていましたね。「初対面の相手に自分の悪い点をわざわざ言う必要はない」というやつ。

個人的には滅多に意見の合わないタイプですが、これは同意。というかたぶん、就職面接でよく言われることを念頭に話したんでしょうね。悪いことをわざわざ言う必要はない、言うにしても改善中/済までワンセットだと。

それにしても、そつのない方ですね。ついでなので言うと、ファンネームもそつがない。にこにこふぁみりーず、通称にこふぁみというやつ。とっくに指摘済みでしょうが、このネーミングは予め暴徒化を防ぐ狙いが織り込まれてます。ちょっと違うけど「割れ窓理論」ってあるじゃないですか。窓が割れたままにしとくと「ああここはそういうとこなんだ」と無意識に周囲へ伝播して、町の治安がすこぶる悪化するあれ。実際には、札付きのワルな町で困り果てた町長が、窓を直す政策を推し進めて驚くほど改善した、みたいな話でしたっけ。警備体制とか教育制度とか難しいことじゃなくて、窓を直すのがキモだったというやつ。

名前でいうなら、少年院でもそんな話ありますよね。オラついている若者は、少年院だとむしろ誇らしく思ってしまうんです。おれはワルいんだぜって。名前を「少年院」じゃなくて「ハローキティのふわふわマカロンなおうち」とかにして、内装もピンクばっかの少女趣味にしたら、みんな死ぬほど嫌がって二度と来ないよう気をつける、とか。

まあこれは例え話ですけど、名前は大事。「にこにこふぁみりーず」なら「ちくちく言葉はめっ!ぴえん🥺しちゃうょ」的な釘刺しが自然と効くわけです。◯◯組とかだと、そう自称し続けるうちにやっぱりそれっぽい言動に流れやすい。あくまで傾向ですし、そういうネーミングをしている配信者は、大抵そのリスクを承知の上でやっているわけですけれども。

 

風見さんに話を戻すと、配信者なんてのは好きな人がわざわざ観に行くものです。vtuberならやさしい世界効果で尚更。それなのに、その当人が「自分はつまらない」ばかりだと、観る人も気が滅入るでしょう。そのつまらない言うてるものを、好きで観にきた自分は一体なんなんや…って。

丁寧口調は、どうなんでしょうね。他のVだと、有名なのは月ノさんとか。あれは委員長というキャラ設定に則ったもので、濃ゆい中身をどんどん仕出しするからこそ、丁寧口調でもテンポが失われないパターンですね。全く知らないけれど、シスタークレアとかも丁寧口調なのかしら?

椎名唯華の専売特許、三下ムーヴは卑下とは似て非なるものです。あれは我が身可愛さから偉いものに媚び諂い、弱いものにはマウントをとり、いざとなったら躊躇なく他人やリスナーに責任転嫁する芸です。むしろ自分大好き、配信者の手本みたいな属性。

というわけで、色々考えてみてもあの卑下は理解しがたい。ずっと一枚隔てた向こう側みたいな感じ。警戒感というか。謙るのも度が過ぎると、慇懃無礼になりかねません。

 

 

…って、素人のわたしなら思いますけどね!

もちろん彼らはプロですから、わたしの思い及ばぬところで深謀遠慮を巡らしていらっしゃるのでしょう、きっと。

 

慇懃無礼にチャレンジしてみたものの全く続きが思い浮かばなかったので、今日はここでお開きです。また次回お会いしましょう。