宝鐘マリンがエグい話

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雑記のつもりでしたが、思いのほか長くなったので単体です。

 

今さらながら宝鐘マリン。

このブログで話題に上ったのは、ピカげんRTA絡みと、絵師vtuberという括りのときですね。その時点では、今ほど「エグい」という感覚はなかった。単に環境に慣れて実力を発揮するようになったのか、あるいはメキメキ腕を上げたのか。受け取るこちら側の変化も考えられます。最近は初心者っぽい配信に慣れつつあったので、その高低差で余計にキーンとなったのか。まあ、色々でしょうね。

あれだけの実績持ちですから何処かしらオファーはあったと思いますが、わざわざホロライブのオーディションに応募したのであれば、客観的に業界内でそれだけ魅力的な箱に見えたのでしょう。実際、今一番上手くいっているように見えます。とはいえ、数ヶ月前までのどっとライブも傍目に上手くいってると思っていた人間の言うことなので、何のあてにもなりゃしません。

で、宝鐘さんのエグさとはなんぞやと。もちろん配信経験値のあるベテランで、タイムキープやリスナーの扱いの上手さとか、オタク趣味とか、大谷育江ボイスとか、絵が上手いとか、バリバリ働けるスタミナとか、色々ありますけど。一番はKK語録の採用ですね。これは脱帽。というか盲点でした。

バーチャルなキャラクターを演じるにあたって、特有の語尾や口調というのは、なかなか難しい問題です。「らしさ」を出すにも色々ありますが、今の2Dからスタートする時代なら、見た目や動きの情報はかなり制約されます。場合によっては、声だけで識別可能でなければならない。ただ声がかわいいだけならゴマンといる昨今ですし、どうしてもしゃべりで「らしさ」を出す必要がある。一番手っ取り早くかつ伝わりやすいのは、ありきたりな発想ではあるけれども、特徴的な語尾や口調…ということになります。

ただこれも一筋縄ではいかなくて、まずバリエーションが限られる。だいたい被ります。あと、あんまりにも普段と違うしゃべり方だと、演者に余計な精神的負荷(ストレス)がかかる。いや、普段と違うこと自体はむしろ喜ばしいのです。演者自身にも「私はいま私じゃなくてこのキャラクターなんだ」と言い聞かせる装置の1つになりますから。ただ「そんなしゃべり方するやつ絶対この世におらんやろ」みたいなとこまでいっちゃうと、ふと我に帰ったときが怖い。

で、宝鐘さんはどうしたかというと、KK語録を採用した。語録というほどではないか。「金ねンだわ」に代表される「〜ンだわ」という語尾ですね。これを時々使うことで、キャラ立て・差別化を図った。

由来の説明は気が引けるのでしませんが、わりと新しいネットスラングの一種です。大っぴらなネタにしづらい側面もあり、なんとなく採用の余地なしと決め込んでいましたが、いざ使われるとコロンブスの卵。界隈でも一時流行し認知された「ガキが…」シリーズの「消えなさい」と遠くで繋がっているため、たしかに無理な話ではない。

ネットスラングは当然ネット受けが良い反面、一事が万事それに染まる危険性も孕んでいます。有名なのは淫夢語録。一度手を出したら、最後まで付き合う覚悟が必要です。本当に好きなら構いませんが、ちょっとした話題作りなどと生半可な気持ちで手を出したら後悔するでしょう。

今回のKK語録に関しては、そもそも語録というほどの広がりがないため、コンテンツ全てを侵される心配はありません。そういう意味で「なるほどその手があったか」という納得感が凄まじく、その他諸々も含めて「エグい」と相成ったわけです。いや本当に。

今は最後にもまとめてスパチャを読み上げる方式で、これをどこまで続けるのか興味があります。鈴鹿詩子さんもその方式を今なお継続していますが、宝鐘さんのように連日連夜配信するタイプではありませんでした。もしどこまで行っても続けるのであれば、それはそれですごいなと。なかなか難しいでしょうけどね。目に見える懸念事項はそれくらいで、あとはコラボよりソロで輝くようにも見えますが、単にわたしがホロライブメンバーを知らないからかもしれません。今年中かはともかく銀盾、将来的には箱のトップにいてもおかしくないだけのものを感じました。あ、分からせられました。