「ココスキ」の及ぼす影響

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湊さん、ちょっとゴタついてたんですね。言われるまで気づきませんでした。1ヶ月以上名前も見なかったら「おかしいな」と思ったでしょうけど、1週間で復帰ですか…。VakaTuberも含めて、少し注視したいところです。

 

と、いう話をしようかなーと、なんとなく思っていたのですが。昨日のあれで、吹っ飛びました。あれですあれ。おめシスの動画で紹介されたサイト「ココスキ」。

動画投稿直後は鯖落ちしてましたね。

一応一晩経って、落ち着いた上で見つめてみましょう。

 

おめシスが企画としてその筋の人のところに持ち込み、実装されたという今回のサイト。

YouTubeの元動画(あるいは配信アーカイブ)の指定された部分を直接参照する仕組みのようです。指定は、連続した3秒〜40秒限定。外部での埋め込み視聴を拒否する動画だと、もしかしたら使えないかもしれません。

 

「ココスキ」がどういう方向に転ぶのかは、この界隈で非常に大きな影響をもたらします。

ご存知の通り、この界隈は半分切り抜き動画で成り立っています。需要はある。あり過ぎるくらいにある。で、問題はどの程度このサイトが割り込めるか、シェアを奪い取れるか。

切り抜き動画もだいぶ変わりました。黎明期は、雨後の筍のように現れるvtuberたちを幅広く紹介することに力点が置かれていた。個別のvtuberにスポットを当てる動画は、ある程度テンプレートの出来上がったMAD動画(デビルマンやペニーワイズなど)が主流でしたね。

配信が主流となった今は、切り抜くこと自体の比重が高まった。紹介というよりも、もともと知っている・ファンである人が、長いアーカイブの代わりに観る動画になりつつあります。もう新人の発掘は難しい時代です。実績があり、かつ何らかの企業の名の下デビューして、ようやくスタートラインに立てるレベル。

時代を追うごとに、切り抜き動画もだんだん長くなってきました。興味のない人は最初から捨てて、ファンが見て満足するための動画へと移行しています。

 

 

で、問題は「ココスキ」です。切り抜きと、どこが変わってくるのか?

 

一つ目の差別化は、元動画をそのまま参照すること。

切り抜きというのは、実際のところ、かなりグレーゾーンです。まずYouTubeから元動画をダウンロードする時点で、けっこう危ない。切り抜き動画を推奨するvtuberもいますけど…うーん。切り抜きと転載のスレスレが出たら、どう区別するのか、少し心配。もし本当に推奨するなら、素材をフリーにダウンロードできる状態が必要です。それが無理なら、外注なりなんなりで、キチンとお金を払って素材も提供して…とするか。

↓この記事でも、似た話をした覚えがあります。

切り抜き自体を咎めるわけではありません。ほとんどの人は、ファンゆえに、あるいはボランティア精神で作っています。

でも、なかにはチャンネルを収益化して、切り抜きで儲けようという人だっているわけです。そこらへん、企業側はハッキリさせておかないと。それはいいんですか、ダメなんですか。

元動画を直接参照する「ココスキ」なら、ひとまずそこの懸念は解消されます。違法ダウンロードせずに、好きなvtuberを布教することも可能です。

 

二つ目の差別化は、時間の短さです。先に述べたように、切り抜き動画はだんだん長くなり、そのvtuberを知ってる人が見て楽しむもの、新規バイバイになってきた。そこを一旦引き戻す可能性があります。vtuber全般に興味のある人が、それまで知らなかったvtuberに出会うためのサイトになる。

また、この制限(1シークエンスで40秒以内)は、vtuberの動画作りや配信スタイルに影響を与える可能性があります。切り抜き動画は勝手に手を加えてくれるので、考慮すべきことはほとんどなかった。しかし、もし「ココスキ」での投稿を意識するなら、連続した40秒以内(出来ればもっと短いほうが良い)で、撮れ高を作る必要がある。なるべく間に余計なやり取りを挟まず、そこだけで面白いと思える部分を意図的に生み出さなければ…。少なくとも動画勢は、ワンランク上の編集・組み立てを目指すことになります。配信者は、どうなるか。「ここが今日の撮れ高だ」と悟ったら、コメントとのやり取りも控え、40秒以内に畳み掛けることを意識した配信になるかもしれません。

 

ここに書いた切り抜き動画への潜在的な懸念というのは、きっとほとんどのvtuberファン、そしてvtuber本人もなんとなく感じていたことだと思います。

おめシスが上手いのは、いわゆる物申すわけではなく、それを解消する選択肢をポーンと初手で出してしまう点にあります。

わたしみたいに、文句を言ったり指摘したりは簡単です。でも、それじゃ変わらない。変わらないのはマシな方で、もし名のあるvtuber自身がそういう問題に物申したりしたら、逆に反発を食らったり、話がトンチンカンな方向へ転がって問題がすり替わったりします。

だから、おめシスの今回の動きは、考え得る最も理想的な初動です。

あとは、このサイトがどう育つか。

見ものですね。

 

…今はおめシスのファンサイトみたいになってますけど。