ハニストとお酒

(2481字)

ハニストとお酒は、切っても切れない関係にあります。

 

まあ、それだけの話なのですが。

 

 

もともとvtuberが始まったときは、どういう状況だったか。

キズナアイなら、バーチャル空間に存在する高性能AIという設定なので、そもそも飲食すら許されません。コーラも浸かるだけだし、ペヤングも食べられない。CM撮影の裏側が何処からか流れた際には、不可視のペットボトルと思しきものを持ち上げて飲む様に、一同驚愕したものです。今更ですが、あれは一体なんだったんでしょう。

一応調べてみたら、ボージョレ・ヌーボー回(2017/11/16)で「シミュレーション機能」なるものが実装されて、飲食を疑似体験できる最終手段もあったようです。何が、そこまでしてでもボージョレを飲むようにさせたのでしょうか?気になりますね。

 

最も酒と紐付けされたvtuberは、間違いなく輝夜月でしょう。瞬く間に浸透した「観る(or聞く)ストロングゼロ」というキャッチフレーズは、その手軽でジャンキーで中毒性の強い輝夜月の魅力を、十二分に伝えるものでした。

 

ミライアカリなら、飲酒マリオカート(2018/04/11)ですか。それでも、飲んでいるのはあくまでドクターペッパーという体。

 

シロは、わたしの知る限りではアルコールと無縁ですね。飲食は可で、投げ銭のお金でバーチャルおやつ買って食べますみたいな話も、あったような、なかったような。

 

バーチャル〇〇で言うなら、にじさんじ一期生の参入が大きかった。樋口楓を中心に演者同士の出会いが活発化し、バーチャル関西などの言い方ですべて片付くようになりました。実際のところ、ファンタジーではない実在する人間という設定なら、頭にバーチャルを付ける必要もなかったとは思いますが。ただ逆に、年齢設定もリアルな女子高生に寄せてしまったため、飲酒に関しては手出し出来なくなりました。

 

あにまーれの初配信が2018/06/09。このときはまだ、飲酒を想定していませんね。動物モチーフの「実際にあるかもしれない(健全な)喫茶店」ということで、全体に低めの年齢設定。稲荷くろむだけは、妖怪みたいな設定ですが。

 

ハニストの初配信が、2018/07/14。このときは先行グループとの明確なコントラストを出すため、「実際にあるかもしれない(ちょっと妖しげな夜の)喫茶店(≒バー、居酒屋)」としてデビュー。年齢もインフレして「酒飲むぞ!」という意気込みが感じられます。酒を当初から武器の一つとして想定したvtuberグループは、これが初めてだったのではないでしょうか。

改めてデビュー年月日を見て戦慄したのですが、あにまーれとハニストって1ヶ月しか違わないんですね。個人的な体感だと、3ヶ月くらいはブランクがあったはずなのですが…。ますます記憶力に自信がなくなりました。

 

それはともかく、ハニストは容姿も性的アピールを前面に押し出し、当初は多少いかがわしくとも男を釣れるなら構わないという目論見だったことは確かです。その目論見は、周防パトラの手によってあっさり崩壊しましたが。

ただ、もう一つの「酒」という部分は、ハニストの重要なコンテンツとして根付くに至りました。周防、島村、西園寺で開催された飲み会配信(2018/08/17)を皮切りに、周防西園寺の距離を縮めたスナックパトラ・二軒目配信(2018/08/26〜27)の好評を受けて以降は定期開催されるように。ハロウィン飲み会(2018/10/27)ではついに全員参加が実現し、蒼月エリが周防パトラの愛想笑いや見えない壁を看破するなど、かなり互いの本質を理解してきたことが窺えます。

 

 

ハニストは近過ぎるくらいの仲良しグループとしてポジションを確立しましたが、それにお酒が多大な貢献をしたことは間違いない。お酒を飲むことをはじめから盛り込んでいたからこそ、今がある。スタートダッシュに酒がなかったら、今のようにはなっていなかったでしょう。

 

vtuber黎明期からの流れだと、そもそもvtuberは動画で活動すべきだし、生放送が許されるようになっても、ダラダラ間延びした行き当たりばったりの配信は悪である、という価値観が根強くありました(まあ、それ自体は間違いではないと思いますが)。そういうわけで、編集の効く動画でたまにやるならまだしも、酒を飲んで配信なんてとんでもない!…という世間の風潮でした。せまい世間の、それも一個人の見解ですけどね。

 

だから、ハニストが堂々と飲酒配信をしたときは

「オイオイオイ」

「やったわアイツら」

てなもんでしたし、

「ほう 飲酒配信ですか…たいしたものですね」

「飲酒配信はコスパがきわめて高いらしく、マンネリ打破に使う配信者もいるくらいです」

というわけで、意外にファンに受け入れられるどころか、むしろかなり潜在的需要の眠る鉱脈だと判明し、各地で飲み会が開催されるようになりました。ただこれも諸刃の剣で、やり過ぎは危険です。どんどん内輪のなあなあ感が加速します。

 

そこから先のvtuberは、飲酒もコンテンツの一つになり得ることを考えてか、成人済み設定がトレンドのように思います。もともとは「どうせ男は若い子が好きなんだろ」という感じで、ファンタジーな存在以外はみな判で押したように女子高生設定でしたが。

実現不可能な理想の自分になれる、というのがvtuberの動機の一つとして存在したと思いますが、時間が経つにつれて本来の自分の姿に近づいていくというのは、趣深いものですね。