家族売りの危うさ

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一つ、言い忘れたことがありました。

「男性vtuberが売れる方法」の記事で、家族売りについて「最も汎用性の高い方法」だが、同時に「最も危ない方法」でもあると述べた、後ろ半分についてです。

 

結論から言えば、危険性は皆無です。だからこそ、最も危ない方法でもあるのです。なにやら禅問答みたいな流れになっていますが、別に話をややこしくしたい訳ではありません。

 

絆す、という言葉がありますね。情に絆されて…みたいな使い方をする、あれです。古典で習ったよ、という方も多いのではないでしょうか。出家したいけれど、妻、夫、子供etc…がいる、まあそういうしがらみ的なものがあって、なかなか出家できないなぁ…って流れで出てきたりもします。簡単に言うと足枷ですね。

 

家族という関係性は、望むと望まざるとにかかわらず、強い結びつきです。どんな歴史的偉業を成し遂げた人物であっても、親の前ではかわいい子供です。時代を経るにしたがって、この傾向は薄れつつありますが、それでも未だ根強くあります。

 

もし、島田紳助のスキャンダルが露見せず、ヘキサゴンファミリーというものが解体されなければ、彼らはどうなっていたでしょう?

おそらく、そのなかでのポジション、立ち位置、関係性から抜け出すのに、長い時間を要したと推測します。つるの剛士は、おバカキャラのレッテルを貼られ続けていたかもしれません。悲愴感の3人は、セット売りされ続けていたかもしれません。(※悲愴感はヘキサゴンではなく、はねトびでしたね。このとき勘違いしてました)

 

家族売りにリスクはありません。ありませんが、一度そこに足を踏み入れたら、抜け出すのは容易ではない。誰々にとっての誰々、誰々と誰々と誰々、この組み合わせだとこういうキャラだよね、そういう具合に認識され、その通りの振る舞いを暗黙のうちに要求されます。もう、その人の新たな側面を開拓する必要もありません。新入りがいたとしても、既存の関係性のどれかを当てはめれば、しっくりきます。もはや、永久機関です。商品の大量生産という意味では、これに勝るものはありません。実際、市場を席巻しつつあるのだから、商売の観点から見れば大成功です。

 

気づかぬうちに身体を蝕まれ、取り返しのつかない状況に陥ってしまうーーいわば副作用の感じられない麻薬のようなもの。

それが、家族売りです。