にじさんじと島田紳助

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さて。

「男性vtuberが売れる方法」の記事で述べたように、どんなvtuberを売り込むにも使える、魔法のような手段が存在します。そのまま引用すれば「すでに人気のあるvtuberとの絡み、関係性のなかに位置付けられること」。そして、それは特ににじさんじが得意とする戦略です。

さらに言うならーーお察しの方も多いでしょうがーーキャリア晩年の島田紳助が採用した手法とも、酷似しています。

要は、メンバーを家族になぞらえるということ。これに尽きます。紳助の場合は、ヘキサゴンファミリーに感動要素も付け足しましたが。

 

これを深く納得するためには、にじさんじの黎明期からの流れもおさえておく必要があります。

いわゆる配信メインのvtuberが、当初かなりの反発を食らっていたことは今更確認するまでもないでしょう。キズナアイ が動画で暗に批判したときもありました。いま、この議論自体に深入りすることはしませんが…。それだけに、彼女が物述有栖のファンだと動画内で公言した際には、界隈に軽い衝撃が広がり、vtuber界における1つのターニングポイントともなりました。

 

にじさんじの戦略は、よく言えば柔軟性に富む、悪く言えば行き当たりばったりです。そもそも、誰でも2次元vtuberになれるアプリとして売り込むはずでした。が、思いのほかタレント業がヒットし、アプリを公開せず運営としてやっていくことに舵を切ったのです。結果、vtuber界最強のブランドとなりました。前述の反発から、vtuberと名乗ることも控え、バーチャルライバーと肩書きを変えたりしていたあの頃とは、えらい違いです。

その後、様々な分家が生まれ、最終的に統合されるのですが…。正直、このあたりの紆余曲折は、辺鄙なブログで書き切れる規模を大幅に超えています。一旦戦線から退くしかありません。にじさんじの戦略そのものについては、また後日お手合わせ願いましょう。今はとりあえず、家族売りに焦点を絞ります。

それまでも、いわゆるカップリングによって新たな楽しみを見つけるということは、普通に行われてきました。しかし、カップリングは潜在的な火種です。派閥争いという点でもそうですが、問題は異性が絡んできたとき。どうあがいても、プラスにはなりません。一部ファンの神経を逆なでするだけです(それ自体の良し悪しは別として)。

ならば、家族にしてしまえばいい。家族だけは、恋愛感情云々というフィルターが免除されます。少なくとも、インセストタブーが浸透している現代日本においては。

だから、女性vtuberをとっかかりにして男性vtuberを売り込むときなどには、家族売りが必要不可欠なのです。逆もまた然り。一部ファンの逆鱗に触れる危険性は、限りなくゼロ。なんなら、その家族性を自ら確認し合って、勝手に納得してくれます。あらゆる状況にフィットし、有機的・連鎖的に効果を発揮する。しかしこの方法には、太い大黒柱が必要です。家族の規模に応じて、できれば複数。

 

そんなことができるのは、vtuber界でただ一つ。にじさんじだけです。