アイドル売りの恐ろしさ

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めめめの記事でも書きましたが。

 

かわいい、というのは終着駅です。そこで終わり。それ以上広がらない。

 

だから、アイドルとして売る時とは、収穫期とほぼ同義です。それ以上顧客を大幅に増やすのは不可能と判断し、確保した顧客からどれだけ回収できるか。そういう段階。

 

例えば輝夜月。vtuber界に彗星の如く現れた彼女(実際、彗星どころの騒ぎではありませんでした)が、日毎登録者数でマイナスを記録する日が来るとは、その当時には想像もつかなかったことです。

 

輝夜月の苦悩、その兆候はだいぶ前から見えていました。

「Quick,Draw!」という、お題の絵を描いてAIに正しく認識させるゲームに挑んだ回の動画を、皆さま覚えていますでしょうか。

今であれば皆さんご承知のことと思いますが、輝夜月は絵の心得があります。本来なら彼女にとって大きな武器の1つですが、初期はそれを封印していました。おそらく、輝夜月というキャラクター性を維持するために、中の人に侵食されないために。特にvtuber黎明期は、中の人との区分けに敏感な時期でした。このあたりの話は別途記事を設ける必要がありそうです。1つだけ言うなら、市場が飽和していくほど、アグレッシブな試みとして、メタ的な視点、入れ子構造、自己言及が進んでいきます。

さて、その「Quick,Draw!」動画を見てお分かりの通り、輝夜月はあえてお題の枝葉、細部から描いていきます。そうでもしなければ、彼女の画力からいって、撮れ高が生まれないからです。

優秀なタレントが、そこまででもない料理の食レポを任されたとき、絶妙なワードチョイスで番組を成立させるーーそれと似たような頑張りを、あの輝夜月がせざるを得ない状況に陥っていたということ。

…あるいは、想定内だったのかもしれません。この段階で、アイドルとして収穫期に入ることも。

 

アイドル部はどうなのか、と仰る方もいるかもしれません。アイドルとして、顧客を増やしていったじゃないかと。

あれは、電脳少女シロという、四天王の一角がいたからこそ出来た芸当です。シロと密に連携を取り、きちんとパイを横流ししたからこそ、アイドルという肩書きでも勢力拡大を成し得た。徹底したリレー、鎖国体制も含んだそういう戦略が、アイドル部独特の客層(太客というか、固定客というか)を形成しています。ドットライブの戦略、これはこれで非常に興味深いものです。

 

VRアイドルえのぐ?

…これについては、別途記事を書きましょう。心を鬼にして。

 

とにかく、アイドル売りは可能性を狭めるという意味で、非常に覚悟のいる一手だということを、お伝えできれば幸いです。