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答えは簡単です。引退配信で説明しています。
ところがどっこい、今やそのアーカイブを見ることは叶いません。引退後一定期間を経たのち、稲荷くろむのチャンネルにある全てのアーカイブ(と1つの動画)は、非公開に(もしくは削除)されました。理由は不明です。中の人と契約が切れた状態で、広告収入を得ることを是としなかったのかもしれません。あるいは全く別の理由。ここらへんは一旦放置しましょう。
本人の述べた引退理由は、非常にざっくり言えば親バレ。もちろん、たいていの物事には複数の要因が絡み合いますから、他にも原因はあったでしょうが、私はこれがベストアンサー、かつファイナルアンサーだと思います。
ところで、そういったこととは関係なく、稲荷くろむの引退は予測し得た事態だったのではないかと最近思うようになったのです。
あにまーれは、中の人を公募ではなく、スカウトによって集めて作られました。
ここの運営のスタイルや戦略はかなり興味深いのですが、今詳細に踏み入ることは控えます。
さて、稲荷くろむの初配信を思い出してください。…思い出しましたか?
他のあにまーれメンバーは、配信者としてのキャリアがある人材を使っています。一方、稲荷くろむの中の人は、配信者としての経験がほぼありませんでした。これはかなり特殊です。スカウトであればなおのこと。
実際、自身が配信をすることはあまりなく、別の人の動画や配信にチームメイトとして登場することがほとんどでした。
当初、運営から打診があったのは別の人だったのではないでしょうか。そこから紆余曲折を経て、稲荷くろむというvtuberが誕生した、と。
vtuberとして、別個のキャラクターを作り上げて演じるというのは、たとえどんなに当人と似通ったものであれ(あるいは、似通っているほど)負荷のかかる行為です。vtuberに限らず、芸能人、ネットアイドル、サラリーマンさえ。たいていは、その負荷を心のうちで整理し、解きほぐした状態で挑むのですが、まれにそうでない場合もあります。
つまり稲荷くろむとは、そもそも奇跡であり、偶然の産物だったのだと個人的には理解しています。
そしていつか、諸々の障害をなぎ倒して、止むに止まれず誕生するであろう新たな稲荷くろむを、ひっそりと待っています。